『ソニックフロンティア』をクリアしたのでレビュー。今回はソニックがオープンなフィールドにやってきた!って感じのゲームになってます。さらにフィールドを自由に駆け回れるだけでなく、クリア型のステージも2D・3Dの両方があり、ミニゲームも盛り沢山!という”ソニック欲張りセット”にもなっています。ソニックのスピードとアクションで駆け巡るオープンな世界は快適で楽しく、各ステージのやり応えも十分なので、パッと触った感じは「最高だぜ!」ってなるんですけども、一方で「うーん…」と感じてしまう部分もあり、なんとも評価が難しいゲームです。
ソニックでオープンなフィールドを駆け巡る
今回のソニックはオープンなフィールドを自由に駆け回れるゲームになりました。公式には「オープンゾーン」と呼称されていて、オープンワールドとは言ってない、って感じなのですけど、舞台となる5つの島はそれぞれ独立したフィールドになっているため、確かにオープンワールドって感じではないですね。
プレイ感覚もよくあるオープンワールドのゲームとはちょっと違います。普通のオープンワールドって、遠くにランドマーク(でかい城とか山とか)があって、とりあえずそこを目指して進んでみたら途中に敵がいたりイベントがあったり、みたいな作りですけど、ソニックの場合はまず目の前にジャンプ台とかレールとかがある、って感じになっています。いいから乗れ、話はそれからだって感じです。
とりあえずジャンプ台に乗ってみればジャンプ台からジャンプ台へ、レールからレールへと繋がってどこか違う場所まで連れていかれる感じ。ビョンビョンしてシャーって滑ったらなんかある!みたいな。なんかあるっていうか、またジャンプ台やらレールやらがあるのでさらにビョンビョンシャー!ってなわけです。これがとにかく気持ちよくて楽しい。アスレチックで埋め尽くされたフィールドでソニックのアクションを堪能しまくれるのだからそりゃ楽しいですよね。
ただこれには問題もあって。適当に走り回っているうちはいいんですけど、いざ目的地へ向かおうとすると迷いやすいんですよね。たとえば特定の目的地へ行きたい場合、目の前にあるジャンプ台に乗ると果たして目的地へ近づけるのかどうか、わからないんですよ。一気に近づけるかもしれないけど反対方向へカッ飛んでしまうかもしれない。また、フィールドのアスレチック中はカメラ視点が強制で変わることも多いので方向感覚を失いやすいのもあります。結局、ジャンプ台を避けて地上を走った方が早い、なんてことも。とはいえ、ソニックのスピードならそこまで困ることもないんですけどもね。
リングさえあれば平気なのは変わらず
オープンなフィールドになってもアクションはソニックのままです。リングを持っていればダメージを受けてもリングをまき散らすだけでセーフ、というのも変わっていません。とはいえ、攻撃力や防御力の概念があり、防御力に応じて落とすリングの数が抑えられるようなので、今回のソニックさんは割としぶとく戦えます。
他にも、転落するともちろん即死……なのですけど、「ミス」となって直前からやり直しになるだけなので大したペナルティもありません。フィールドに関しては易しめですね。とはいえ、アスレチックをしっかりこなしてアイテムを集めようとすると話は別。何度もトライすることになったりします。ゲームオーバーにならないからといって易しいといっていいのか?みたいな難易度です。
目的はカオスエメラルド集め
オープンゾーンでの目的はカオスエメラルドを集めることです。カオスエメラルドを集めたらボスに挑んでスーパーソニックになって叩きのめして次の島へ、というのが主な流れですね。カオスエメラルドを手に入れるためにはエメラルドキーを指定数あつめることになるのですが、エメラルドキーは各ステージやミニゲームなどで手に入ります。というわけで、フィールドを駆け巡って探索しまくることになります。
具体的には、まずマップを解放していきます。最初はマップが見えない状態なのですが、特定のミニゲームをクリアすることで少しずつ見えるようになっていきます。ミニゲームは一筆書きとか反復横跳びとかいろいろで、赤いはてなマークのアイコンが目印になっている場所です。独特なのはマップがモザイクタイル状に解放されていくことです。エリアごとに見えるようになっていくわけじゃないんですね。
いつものソニックっぽいアクションステージ
マップを解放して諸々の位置がわかったら後は取りに行くだけです。肝心のエメラルドキーの入手方法はいろいろあるのですが、1番はポータルと呼ばれる場所から入れるアクションステージをクリアすることです。ただクリアするだけでなく、制限時間以内にクリアとか赤いリングをすべて集めるとか、条件を満たすことでさらにエメラルドキーが貰えます。クリアするだけならなんてことはないのですけど、条件を満たそうとすると急にムズかしくなったりします。ここはやり込み要素ですね。
ちなみに、クリア後に解放されるアーケードモードでは、こうしたアクションステージを通して遊べます。
釣りもあるよ
エメラルドキーは探索や各種ミニゲームでも手に入りますが、中でも大きいのが釣りです。釣りをするために必要な紫のコインは探索で見つけなくてはなりませんが、釣り自体は簡単なので報酬のエメラルドキーをホイホイ入手できます。これはもう救済措置なんでしょう。でかい魚は当たり、でかいタイヤも当たり、という豪快なサービスになっています。
スーパーソニックで派手にブチかますボス戦
エメラルドキーが集まったらカオスエメラルドを取りにいきます。そしてカオスエメラルドが集まったらいよいよボス戦です。スーパーソニックとなって戦うので普段のアクションとは毛色が違うのですが、どのボス戦も難易度は控えめです。スーパーソニックの超パワーを堪能せよ!って感じです。説明なしに特殊なアクションをやらされて「ほよ?」となったりしますが、スーパーソニックが強いので概ね問題ないです。
難易度がまちまちなのが難点
難易度は3段階から選択できます。真ん中の難易度であればそれほどムズかしくはないのですけれども、ステージやミニゲームによっては極端にムズかしくなったりするのが困りもの。急に1ミスも許されないカツカツの制限時間になったりするんですよね。かと思いきや数回ミスっても楽々クリアできる場所もあったりで、調整に一貫性を感じません。ミニゲームなら何度もミスっているとそのうち制限時間が緩和されたりもするのですが…、納得はできないですよね。
視認性もちょっと難点
概ね快適に遊べるアクションとなっているのですが、ちょくちょく視認性に難アリな状況に出くわします。というのも、フィールドに昼夜があるからです。夜になると暗くて見えづらくなるし、昼でも逆行になると影になった部分が見えなくなったりします。フィールドでアスレチック中のカメラは固定になりやすいので、ゲーム内の時間帯によっては視認性がすごく悪くなるんですよね。暗い場所にある黒いトゲなんてぶつかるまで気付けません。自然で美しいライティングとソニックのアクションの相性は悪いのかもしれません。
最大の難点はラスボス戦
さて、今回『ソニックフロンティア』のレビューで書くべきかどうか、もっとも迷ったのがラスボス戦についてです。ちょっとネタバレにもなってしまうし、でも書かないわけにもいかないし、ってことで迷ったのですけど、さすがにこれを書かずに本作の評価はできないので書くことにします。
ぶっちゃけてしまうと本作にはないんですよ、ラスボス戦が。ストーリー上では存在を仄めかされ、マジでやべーやつとさんざん煽られ、勝率がまったくないとか言われる中、我らがソニックさんは「絶望を希望に変えてやる」とかめちゃカッコイイことを言ってくれたりするわけです。ソニックさんマジカッコイイ。でもね、ないんですよ。そいつとの戦いが。いや、いるんですよ、ラスボス。さあこれから決戦だ!ってムービーもある。でも始まらないんですよ、決戦。戦わないままQTEが始まって3回ボタン押したら終わり。は??? スタッフロールの最中も「えっ?いやいや、…え?」みたいにずっと困惑してました。終わりよければすべてよしという言葉がありますが、その逆はこんな感じなのかと思い知らされました。そんなこと思い知りたくなかったです。
実は難易度3段階のうち1番上の難易度にしていればラスボス戦が発生するそうです。といっても、道中で何度か挿入される『斑鳩』とインベーダーを足したようなシューティングのミニゲームだそうで、ソニックとしてアクションで戦えるわけではないようです。いくらなんでもそれはないでしょう。片手落ちってレベルじゃない。正直ガッカリです。宇宙からの脅威も納期には勝てなかったのでしょうか。
オススメしたいけど…
そんなわけで『ソニックフロンティア』、タイトルどおりソニックの新境地を切り拓く内容であり、概ね楽しく遊べたわけですが、最後の最後で印象が最悪になってしまうという、なんとも評価しにくいゲームでした。間違いなく楽しく遊べるゲームなのでソニックのアクションを求めているならオススメできるんですけども、ラスボス戦があんなだったことでここまで印象が変わってしまうのかと個人的にも新境地です。めっちゃ楽しかったんだけどなぁ…プレイ後感が最悪なんだよなぁ…。いやでも、すでにこの記事を読んでラスボス戦がないことを知った上で遊べるならワンチャン?