【Outrider Mako ~露払いマコの見習帖~】レビュー

『Outrider Mako』をクリアできたのでレビュー。ずいぶん長い間ウィッシュリストにあったゲームがついにリリース! 最高のビジュアル! 雰囲気抜群のBGM! そして魅力的な世界設定! もうすでに最高なゲームの予感!…だったのですが、実際にプレイしてみると思ったよりムズかしい。いや、ムズかしいどころではない。理不尽に片足どころか腰まで浸かってる場面もあり、ちょっとオススメはできないかもしれません。これが神々の世界ということか。

公式サイト:Outrider Mako ~露払いマコの見習い帖~ Steamで発売中!

※2025/6/30追記 以下のレビューはアップデート(ver.1.356.7)以前に書いたものです。アップデートでいろいろと変更されたので、難易度はやや下がったかも。

コレをほぼ1人で作った…だと…?

本作、Twitter(現X)などで見かけたことがある人もいるんじゃないでしょうか。それもそのはず、制作者のあさまど氏がほぼ1人で作り上げた(!?)とのことなのですが、なんと9年かかっているのだとか(!!?!??)。9年もあればどこかで見かけていても不思議じゃないですよね。にしても1人で9年…、あまりにもすごすぎる。執念とか狂気とか、そんな言葉だけでは足りない凄まじさが本作には詰まっています。すごい。

最高の雰囲気の「マヨイ世界」

舞台となるのは神々のいる「マヨイ世界」という異世界。和風なファンタジーって感じでいいですね。そしてゲームを始めてすぐにわかるビジュアルの良さ。描き込まれまくったドット絵がところ狭しと動きまくる様は最ッ高です。個人的にドット絵ビジュアルが大好きってのもあるんですけど、本作はマジで圧巻。これを全部おひとりで…? ちょっと意味がわからない。すごいぜ。

▲説明不要の凄まじいドット絵ビジュアル。最高。

異世界配送生活

異世界に迷い込んでしまった主人公・マコは元の世界に戻るため、配送業をさせられることになります。フィールドを駆けまわって依頼の品を集め、梱包して届ける、というのが本作の基本サイクル。各ステージごとに3回の配達があり、3回目はボスへのお届けです。そしてボスを倒せば次のステージに進む、といった進行になっています。全部で9つのステージがあるのでなかなかのボリューム。ボクはクリアまで12時間以上かかりましたが70回ほど死んでるので、上手い人ならもっと短くなると思います。

▲依頼の品を集めて梱包したらお届け。それが異世界配送業。

「赤蜜」かけてブン殴れ!

ゲームは見下ろし型の2Dアクションです。特徴となるのは「赤蜜」を使ったバトル。「赤蜜」というのはマヨイ世界における霊的エネルギーの塊であり、MP的な役割を果たすピンクの液体です。本作のバトルでは、敵の頭に飛び乗って「赤蜜」をかけて動きを止めてから殴る!ってのが基本になっています。

そんな面倒なことしなくても普通に殴ればええやん?と思われるかもしれませんが、この世界の敵はどいつもこいつもすばしっこいので、こうしないと捉えられないんですよ。その敵の頭に飛び乗るマコも速いわけですから、かなりハイスピードなバトルになっています。めまぐるしいぜ。

▲敵に飛び乗って「赤蜜」をかけて攻撃! 基本はコレ。

ガチでムズいぞ!

難易度はめっちゃ高いです。ムズかしさの要因はいろいろあるんですけど、まず上記の「赤蜜」に関するアクションがムズかしい。ジャンプ自体は無敵があるんですけど、敵に向かって飛び乗りにいくところには無敵がないため、被弾のリスクが高いです。また、上手く「赤蜜」で動きを止められたとしても、別の敵に遠距離から撃たれることもありますしね。じゃあちょっとくらいの被弾は覚悟の上で…となりそうなものですが、体力の最大値はハート3つのみで増えることもないため、ゴリ押しは厳禁。なんてこった。こいつはキツいぜ。

▲難易度はかなり高め。マジで死にまくれます。

また、「赤蜜」が不足しがちなのもしんどいです。敵からの通常ドロップや溜め攻撃を当てて倒すなど入手手段はいくつかあるものの、戦いだけでなく宝箱を開けるのに必要だったり回復アイテムの素材だったりするので全然足りません。特に序盤は厳しかった…。せめて拠点に戻ったときとか復活時とかに回復していただけませんか…ダメですか…

※2025/6/30追記 アップデートでセーブポイントで回復するようになりました!宝箱を開けるのにも不要に!回復アイテムの調合に必要な数も減ったぞ!そもそもドロップ率もアップ!マジか!

他にも難易度を高めている要因はいろいろあり、たとえば視認性の悪さだったり雨が降ったら「赤蜜」が使えなくなったり※2025/6/30追記 アップデートで「はやく消える」ように変更されました)、強化カードがステージごとに没収されたりマップがないので迷ったり。それで死ぬたびに死んだ回数をデカデカと表示してくるのだからメンタルをガリガリ削られます。さらにはセーブポイントで復活直後にいきなり敵に殴られたりもするので「ハァ~~~~!?」ってなります。なった。理不尽。あまりにも理不尽。

▲神々だから理不尽も厭わないぜ! 人類は死ぬしかない。

神々に抗う術は…?

そんな感じでとにかくムズかしいんですけども、この理不尽に対抗する手段もないわけではありません。その手段とは、労働です。フィールドに生えてくる鉱石を砕いて砕いて砕き続け、売ってお金に換えて回復アイテムとサブウェポンを買い込むのです。金の力で解決できるなら金のために労働するまで。これが異世界における普通の人間の生き方や! (ただし3面のみ拠点に戻れないので自力で攻略してネ☆)

▲鉱石を砕いて稼ぎまくれ! 人類には労働! 労働しかない!

覚悟を決めてからお越しください

そんなわけで『Outrider Mako』、素晴らしいドット絵ビジュアルと和風ファンタジーな雰囲気が最高である一方、ハチャメチャ難しいゲームでもありました。ムズかしいゲームが好きな人もいるとは思うのですけど、ムズかしさにもいろいろあるわけでして、個人的には正直ちょっとオススメしかねます…。神々の住まう世界というだけあって理不尽なのですよねぇ。

ただ、たった1人の開発者が9年の歳月をかけて本作を完成させたという事実は驚愕という他なく、ひとりでも多くの方にこの事実を体験していただきたいとも思います。ってか、9年かけたって1人でここまで作れるもんなの…?いやそもそも9年間ひとつのモノを作り続けられる…?みたいな感じになれます。こんな驚き、なかなかないぜ? とはいえ、めっちゃムズかしいことも事実なので「マヨイ世界」へお越しの際は覚悟の上でどうぞ。