「SF」とはサイエンスフィクションの略称ですが、その定義はあいまいで「なんか宇宙っぽい!」とか「すこしふしぎ!」くらいでも「SF」と称されることがあります。そこが「SF」の良いところでもあり面倒くさいところでもあるのですが、そこへきて本作『ステラーコード』はどうなのかというと、バリバリの「SF」です。もうね、ガッチガチにサイエンスなフィクション。「なんか宇宙っぽい!」ではなく「ガチ宇宙」です。宇宙は面白いぞ。
宇宙からの暗号を解き明かせ!
『ステラーコード』はビジュアルノベル形式のアドベンチャーゲームです。ストーリーは、大学4年生の主人公が卒論のために人工衛星の研究をしていたのですが、どうもうまく通信できなくなってしまう。その原因を探って大学の裏山へ行ったところ、謎の円筒状物体を見つける。この物体は何なのか? 誰が何のために作ったのか? 物体に秘められた暗号の正体とは? そこから始まる物語!みたいな感じです。これだけでもワクワクしますぇ!

ちなみに、主人公の父親はアメリカ在住で主人公の知らぬ間に再婚しており、義妹となったヒロインはノーベル賞確実と言われるほどの超天才。エロゲかな? ともあれ、一時的に日本にやってきた彼女とともに謎を解いていくことになります。解き明かさなければ世界がヤバイ! 某クリスティーナかな?

“謎を解いてる感”
シナリオに分岐などはありませんが、ちょくちょく謎解きパートが挿入されます。解かなくてはならない謎はもちろん宇宙の謎。まさに「SF」! シナリオ中には重力波!中性子星!暗黒物質!宇宙背景輻射!などなど、科学系の読み物で見かける単語がドカドカ流れてきます。ああ、なんというサイエンス。たまりませんねぇ!

宇宙の科学をガッツリ扱っているだけに、なんか難しい単語や説明がつらつらと流れてきたりもするのですが、ゲームとしてはとても易しくなっています。資料の中からそれっぽいところを選ぶだけですからね。わからなくても「ヒントをください」ってボタンがありますし、なんなら「答えを見る」ボタンもあります。作中でも謎解きは「暗号解読のためのフレーバー」という説明がされていましたし、あまり身構えなくても大丈夫です。反対に、ガチな謎解きがしたい人には肩透かしかもしれません。

SFでありつつミステリでもあり
本作の特徴として、「SF」でありつつミステリでもある、というところでしょうか。科学の謎を科学で解く、といった趣なので、それ自体もミステリっぽくなっているのですが、さらにはこの謎を解かなければ自分たちの命がヤバイ!みたいな状況にもおかれているため、非常にスリリングな展開が繰り広げられるのですよね。おかげでクリックする手が止まりません。5~6時間ほどのボリュームがあるのですけども、先の気になる展開がずっと続くので、あっと言う間です。最高ですね。

宇宙は面白いぞ
そんなわけで『ステラーコード」、とてもよい宇宙SFミステリでした。ゲームとしては易しいですが、SFとしてもミステリとしても刺激がありまくりなので、脳に電流が走りまくること請け合いです。小説でいうとアレとかコレとかが好きな人にオススメ!…って言いたいのですけども、タイトルを挙げるとそれ自体がちょっとネタバレになりそうな気がして挙げられないジレンマ。まったく厄介なジャンルだぜ。
あと、本作は宇宙の科学を題材にしているのですが、別段そのへんに詳しくなくても大丈夫です。というか、本作を通じて興味を持ってもらえれば、さらに広大で深淵な宇宙の謎を楽しめるようになりますからね。そういう「入り口」としてもオススメしたい1本です。宇宙は面白いぞ。
