ロウルートとニュートラルルートで2周終えたところで、レビューしておこうと思います。もう今年1番といってもいいRPGではないかと。
1周目は虚無エンド…を回避してロウルート、2周目はニュートラルエンドで2周クリアしたところで、一旦レビューしておこうと思います。
『真・女神転生4』は正式ナンバリングタイトルとしては実に10年ぶりとなる続編です。間に『ストレンジジャーニー』を挟んではいますが、待ちに待った続編といっていいでしょう。期待が大きい分、その期待に応えるためのハードルは、山よりも高くなってしまうわけですが、『真4』は見事に飛び越えてくれました。
ボクが個人的にメガテンシリーズのファンなので、褒めちぎってしまうかもしれませんが、シリーズのファンがそれだけ楽しめる内容なんだなと思っていただければ。
難易度は高いが乗り越えるカタルシスは最高潮
発売直後、あちこちで目にしたのが「死ぬ」「死んだ」「とにかく死ぬ」。当たり前のように三途の川と現世を往復する主人公になってしまいがちなのだが、本当に容赦なく全滅に追い込まれます。それはもうチュートリアルの段階で死んでしまうほど。
終わってみれば、序盤が1番難しかったということに気付きます。序盤の段階で、ゲームのイロハをプレイヤーに叩き込むため、やや厳しい調整にしているのだと思います。
序盤の難関であるボス、ミノタウロスやメデューサなどでつまづき、心折れて投げ出してしまったプレイヤーもいるのではないでしょうか。
このあたりのボスは力押しだけでは突破できるようになっていません。メガテンシリーズのプレイヤーなら常識かもしれませんが、カジャ系で自己強化したり、属性をそろえて対策したりする、といった、このゲームの攻略法に自力でたどり着いてもらうための登竜門になっています。
「これちょっと強すぎでは…」と思った人も多いと思うのですが、そう思った時点でおそらく開発者の思惑にハマっているのでしょう。ギリギリの戦いを制してボスを撃破したときのカタルシスは極大です。この刺激が忘れられず、次の激戦を求めて仲魔の強化を図り続けるようになれば、後は最後まで走り抜けるだけです。
いってみれば、「山登り」なのかもしれません。辛い思いをして頂上を目指し、「二度とゴメンだ」と考えつつも、頂上にたどり着いたときの感動を忘れられず、次の山を目指してしまうような。
山登り的な感覚は2周目の存在についても言えるかもしれません。今回は「転生リスタート」という、いわゆる「強くてニューゲーム」が用意されているため、1周目では苦労したボスたちを一瞬で葬り去りつつ進めることができます。これは壮快。
マルチエンドという作りの都合上、周回プレイせざるをえない面はあるというものの、ちゃんと周回プレイを前提とした作り込みがなされているのも見逃せません。1周目には登場しなかったクエストが追加されているのですが、クエスト報酬の経験値は非常に高いため、おいしくいただくこともできます。2周目は2周目として、新しい体験ができるようになってるということですね。
主人公の属性によって台詞が変わったり、ボス敵にも会話用の台詞が用意されていたりと、周回プレイしても飽きさせないための作り込みは目を見張るものがあるかも。
スリリングでテンポのよい戦闘はシリーズ随一
『真3』から引き続き「プレスターン制」を導入した戦闘は、非常にスリリングなものに仕上がっています。
弱点を突いたり、クリティカルが出ると、行動回数が追加。反対に、効果のない攻撃をしてしまったり、ミスをすると行動回数が減少してしまう。しかも、敵も同じルールで動いているため、弱点を突かれると敵のターンがなかなか終わらず、一気にピンチを招いてしまう。
『真4』では、ここにさらに「ニヤリ」という起爆剤が追加されることで、よりハイリスクハイリターンな攻防になっています。たった1つの選択ミスが全滅を招くこともあれば、属性さえかみ合えば一気に勝利することもあります。このスピード感は壮快。
今回は、主人公の操作以外でも、ストック内の仲魔と交代することができたり、仲魔を召喚してもそのまま行動できたりするので、よりテンポがよくなっています。ストック内のベンチメンバーを目まぐるしく入れ替えて戦うこともできるため、悪魔召喚師の気分を味わいつつ、ギリギリのバトルに手に汗握ることも。
携帯機ならではの特色がゲーム内容とマッチ
スリープモードを搭載した携帯機は、いつでもどこでも中断できるので、長時間プレイとなるRPGとの相性は良いのですが、『真4』では、それだけでなく、携帯機であることを活かしたシステムが、ゲームの内容とうまくマッチしているように感じます。
今作は、携帯機であることを考慮してか、メニューを開けばどこでもセーブできるようになっています。ボスなどの強敵が出現する手前では、注意メッセージが出てくれるので、直前でセーブして何度でも挑むこともできます。
加えて、今回はメニューからいつでも悪魔合体ができるため、ダンジョン内でも臨機応変に戦力を整えていくことができます。なので、ボスに負けても、ボス部屋の前で有効な悪魔を吟味したり、合体したりして戦略を練ることができる、ってわけですね。
手強いボスが出てきたとしても、「一旦戻って戦力を整えて…」なんて、まどろっこしいことをしなくても、その場で対策をしてしまう、なんてこともよくあるわけです。もちろん、それじゃどうにもならない場合もありますけど…。
先に進めないので一旦戻ってレベル上げ…なんていうのは、正直言ってあまり楽しいものではありません。かといって、一発で突破できてしまうようなボスばかりでは、簡単すぎて手ごたえがありません。初見でラクラク突破はできないけれど、その場で臨機応変に対応ができる、というのは、絶妙かつギリギリのところに立っているのではないかと。
2画面を使ったUIも、DSの『ストレンジジャーニー』に比べて格段に進化したと実感できます。ボタンのみでもすべての操作は可能ですが、タッチスクリーンでもほぼすべての操作ができるようになっています。
タッチでもボタンでも操作できて、視認性もよく、快適なUIってなかなか難しいと思うのですが、これはうまくやっているなーと感心しました。結局ボタンで全部操作してしまうのですが、キレイな両対応を見た気がします。
先が気になるストーリーはシリーズ随一では
メガテンシリーズなら毎度おなじみ、ロウとカオスの選択と分岐はもちろん、マルチストーリーとなっている本作。今回も、ロウとカオスの2大勢力と、その間のニュートラルという構図は変わらないものの、いつもよりちょっと複雑になっています。
東のミカド国と東京、東京の中では阿修羅会とガイア教団と、少し複雑になった構図で、先の読めない展開というか、とにかく先が気になる展開が続きます。
メガテンシリーズでは、悪魔合体に夢中になってストーリーを忘れてしまい、「あれ?次どこへ行くんだっけ?」なんてこともよくあったのですが、今回はそういうこともなかったですね。常にクエストとして進行状況が確認できるのもそうですが、やはり先が気になるのです。
結果的に見れば、ロウとカオスとその間、っていうシンプルな構図であることは変わりなく、メガテン”らしさ”が溢れていることに間違いありません。しかし、予想外の展開であったり、ミスリードを誘う演出などがうまく詰め込まれており、プレイヤーを牽引する吸引力はシリーズでも随一ではないかと。
特に、ニュートラルルートでのプレイ後感は絶品なので、ぜひその手でたどり着いてほしいと思います。タイトルどおりとなるエンディングを見た後はちょっと放心してしまったほどでしたし。
そんなわけで、メガテンシリーズのファンにも、そうでないRPGゲーマーにも強く強くオススメしたい『真・女神転生4』。序盤は笑っちゃうくらい全滅しますが、なんとかその山を乗り越えて、1人でも多く、頂上からの朝日を目にすることができるように願っております。
ところで…。
魔人の方々の出現率が低すぎるんですけど! 出てきたら出てきたで破天荒な強さで荒ぶっておられるし、困ったものです。もう3周目に行っちゃおうかなー、と思いつつ、マラソンをやめられない自分が憎い…。