【ドラゴンクエストビルダーズ】にお使いを「やらされてる感」を払拭する冴えたやり方をみた

ドラゴンクエストビルダーズ レビュー

発売から1年遅れですがクリアしました。別に積んでいたわけではなく、買ったのも今月です。「なぜ今?」と言われても特に理由はなく、ただなんとなくやりたくなったからです。で、始めてみたらこれがよくできていてめちゃんこ楽しめました。周回遅れの話題なのは十分に承知しておりますが、ちょっと聞いてやってください。すげーいいゲームですよこれ。

『ドラゴンクエストビルダーズ』がどんなゲームか?と言えば、「Minecraft」の「ドラクエ」版です。見たまんまです。「パクリかよ」と言っちゃう人もいるかもしれませんが、もともと「ドラクエ」ってマニア向けでとっつきにくいジャンルだったRPGをわかりやすく"翻訳"したものでしたからね。といっても「Minecraft」がマニア向けでとっつきにくいかと言われたらそうでもないんですけど、サンドボックス特有の際限ない自由にちょっとだけ指標を与えることで遊びやすさが段違いになっているわけです。わかりやすく、遊びやすく、かみ砕く。これこそが"ドラクエナイズ"というものでしょう。

復興するのは半分じゃない

ドラゴンクエストビルダーズ 世界の半分

プレイヤーへの指標はストーリーベースで与えられるのですが、まずこの世界設定が逸材。サブタイトルに「アレフガルドを復活せよ」とあるように、本作の舞台はあのアレフガルド、つまり『DQⅠ』の世界であり、その後のロト3部作すべてに登場したあそこです。本作では、かつての勇者が竜王と"例の取引"に応じてしまった後の世界、という設定になっており、過去の姿は見る影もありません。

人類は竜王によって「物を作る力」を奪われているため、文明は崩壊し滅亡寸前。さまざまな物を作り出すことで霊長として君臨している人類ですから、それを奪われちゃ世界がヤバい。半分どころじゃない。モヒカンどもがヒャッハーする元気すらない暗黒時代が到来しているのであります。なので、見た目こそかわいらしいですが、実のところめっちゃ暗いです。直接の描写はありませんが、それがかえって想像力を刺激することになるところはまさに「ドラクエ」のストーリーといったところ。

ドラゴンクエストビルダーズ 荒廃した世界設定

そんな中、プレイヤーは人類で唯一の物を作る力を有した「伝説のビルダー」として世界を復興することになります。ゲームは4章に分かれており、それぞれの章でメルキド、リムルダール、マイラ、ラダトームといったお馴染みの町を再建していきます。町づくりは基本的にプレイヤーの自由に行えますが、大半は町人NPCの依頼に従って作ることになります。

設計図から指示どおりの施設を建てることもあれば、設置する家具の制限だけで自由にレイアウトできることもあり、指標は示されるけど完全に自由が損なわれることもないくらいの塩梅。そうしているうちに、気づけばそれなりに町っぽくなっているわけですが、ブロックベースのビジュアルがなんとも「ドラクエ」っぽい町並みになるので「あ~やっぱドラクエだわこれ」ってなります。

ドラゴンクエストビルダーズ リムルダール

創造と破壊の輪廻

プレイヤーの目的が「作ること」であれば、敵の目的は「壊すこと」。魔物たちは復興中の町を破壊すべく何度も襲撃してきます。なので、ただ建物を作っていくだけではなく、襲撃に備えておく必要もあるのです。硬い素材で防壁を築いたりバリケードを作ったり、罠を仕掛けたり大砲を設置したり。町づくりにディフェンス系の要素がプラスされているわけです。人々や町を守るために戦う…、というか、町人NPCは一緒に戦ってくれるし最悪やられても死ぬわけじゃないし、ぶっちゃけ守る必要もないわけですが、建物は別。壊されても修理できるとはいえ、自分で手間暇かけて作ったものですからね。破壊されるのはたまったもんじゃない。何が何でも守護らねば…!となるわけです。

ドラゴンクエストビルダーズ 文明の利器による防衛

ただ、バトルはちょっと難アリかも。プレイヤーは勇者ではなくビルダーなので、派手なアクションができないのは仕方ないのですけど、敵に触れただけでダメージを食らう仕様がツライ。リーチの短い剣をブンブンするしかないのに、攻撃しているわけでもない敵に触れただけでダメージ。それだけならまだしも、敵の当たり判定がわかりづらいときてる。剣が当たっているようにみえるのにヒットしないし、それならばとめり込むまで近づいたらこちらがダメージ、みたいなケースが頻発するのでなかなかのストレス。最終的には剣とか振ってる場合じゃなくなるので鬱憤は晴らせるのですけれども。

ともあれ、町人NPCからの依頼でアイテムや施設を作っていく短期目標と防衛設備を充実させる長期目標。2つの指標が示されているので次に何をすべきかが明確なんですよね。だからゲームの進行が滞ることがない。なるほどこれは遊びやすい。でもこれって要するに"お使いゲー"なのでは?と聞かれたら、否定できません。しかし、"お使い"の悪い印象である"やらされてる感"を出さないように、ものすごく丁寧な気遣いが施されているのが本作のスゴイところなのです。

ビルダーもおだてりゃ町作る

まず、プレイヤーキャラクターが自由を好む性格として描写されていること。会話シーンはあってもセリフは一切ないのですが、戦いは好まず、自由に作りたいものを作っていたい人物であると描かれています。この性格付けが、チュートリアルの最中に「早く外へ出してくれ」と言い出したり、町人NPCの無茶な依頼に怪訝な表情をしたり、"やらされてる感"が増すシーンにおいてプレイヤーの気持ちを上手に代弁してくれるようになっているのです。これだけでも"やらされてる感"のネガティブな印象はかなり緩和されていますね。

ドラゴンクエストビルダーズ 物言わぬ主人公がプレイヤーの代弁者

次に、ストーリーそのものが誰かの声にただ従うだけの内容にはなっていないこと。伝説のビルダーとしての使命を果たすのが目的とはいえ、精霊ルビスの天の声を振り切って「好きにやらせろ」というところから始まるストーリーですからね。復興が進むのはルビスの思惑どおりとはいえ、プレイヤーは別にルビスに従っているわけでもない。最終的にここがストーリーの核となるわけで、分岐のない一本道とはいえ、プレイヤーが自らの意思で選択しているように錯覚させてくれるやり方は巧妙。チュートリアルの時点から伏線を丁寧に積み上げているんですよね。

そして極めつけが、褒め方の上手さ。町人NPCから依頼されたアイテムを作った後、依頼主に届ける必要はありません。なぜなら作った瞬間に依頼主が全力ダッシュで駆け寄ってきてくれるから。「すごいじゃないか!」と褒めるために全力で走ってきてくれるのです。施設を建てようものなら町人全員がダッシュで集まってきてくれて胴上げでもはじまりそうな空気の中「やるじゃねえか!」「悪くねえな!」「ステキですね!」と一斉に褒めてくれる。もうね、格好つけずにストレートに褒める。褒めまくる。これだけ褒めてくれると当然うれしいわけで、次の依頼を引き受けたくなってしまうものなのです。そう、NPCからの依頼に対して能動的になれるわけです。そこに"やらされてる感"はありません。シンプルだけど実にうまいやり方ではないかと。

ドラゴンクエストビルダーズ 褒めまくってくれるNPCたち

本作にはストーリーモードだけでなく、自由に遊べるフリーモードも用意されていて、心置きなく物作りが楽しめます。しかし、あれほど望んだ自由な世界もストーリーの後ではなんだか物足りません。というのも、褒めまくってくれるNPCが圧倒的に不足しているからです。なので、どれだけ作っても何かが足りない感じに。もっと…もっと褒めてくれ…。

ドラクエだからすごいのではない、すごいからドラクエなのだ

ドラゴンクエストビルダーズ 復興したラダトーム

そんなわけで『ドラゴンクエストビルダーズ』、すばらしく"ドラクエナイズ"されたサンドボックスでした。『DQⅠ』の延長線上の世界ということで、過去の清算という意味でもストーリーは必見。ストーリーや世界設定とゲームシステムの噛み合い方も絶妙で完成度も最高級。「やっぱドラクエってすげーわ」と感じるばかりの内容でございました。そういえば書き忘れましたが、BGMの選曲もすばらしいんですよ。荒廃した世界に「勇者の故郷」や「遥かなる旅路」が沁みる沁みる。その選曲はずるいぜ、って言いたくなるのですが、積み重ねた歴史があってこそ。やっぱドラクエってすげーわ。

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