『Hell is Other Demons』のキャンペーンモードをクリアできたのでレビュー。色数を抑えたドットビジュアルに惹かれて購入したのですがジャンプ&ショットのアクションとしてもなかなかの出来。易しくはないものの”死にゲー”というほどでもなく、徐々に上がっていく難易度やパターンを理解して攻略していくボス戦など、意外と丁寧な作りを感じる内容です。むしろ、最初にぶつかるであろう「視認性」という魔物こそがラスボスだったのかもしれません。
地獄の一丁目は「視認性」
極端に色数を抑えたビジュアルは最高にクール!…なのですけれども、ハッキリ言ってかなり見づらいんですよ。プレイヤーのキャラクターも敵も弾も爆風も同じ色ですからね。派手なエフェクトも追い打ちをかけており「やべえ見えねえ」とか言ってるうちに死んでいることも多々。正直、ボクも買った当初は「失敗したかな」と思わなくもありませんでした。
しかし、人間慣れるものです。目が慣れてくれば見えるようになってきます。驚きです。ボクは序盤のうちに慣れることができたので本作を楽しめたわけですが、このへんは個人差が出るかもしれません。なので自信をもって「大丈夫!」とは言い切れないのがつらいところ。とはいえ、慣れてしまえば良質のアクションであることがわかってきます。ぜひとも目が慣れるまではプレイしましょう。視認性を制した先に真の”地獄”が待っているのですから…。いや視認性に殺される方が地獄ですけれども。
短時間のステージで敵の頭を踏みまくれ!
『Hell is Other Demons』には大きく分けて2つのゲームモードがあり、1つは「キャンペーン」、もう1つは「アーケード」です。「キャンペーン」ではマス目上のマップから隣接するステージを選んで進めていく形式になっており、「アーケード」はランダムに生成されるステージを踏破していく形式になっています。
1つ1つのステージは短め。だいたい1~2分でクリアできます。左右へのスクロールはなく、上下にはややスクロールする固定ステージで続々と襲いかかってくる敵をすべて倒すのが目的となっています。キルゼムオールです。アクションはジャンプ&ショットのオーソドックスなスタイルに踏みつけや回避を足したもの。2段ジャンプはもちろん、ジャンプボタン押しっぱなしでふわふわと滞空時間を延ばしたりもできるため、かなりの機動力があります。特に踏みつけは高性能で、敵を踏むとジャンプ回数がリセットされるため、ひたすら飛び回っていることも可能。となると「ずっと上をとっていれば無敵だぜー!」ってなるんですが、それを見透かしたように天井にトゲが配置されたり。嗚呼、この開発者はわかっていやがるぜ。
地獄の沙汰も金次第
ショットは射程距離も制限されたしょぼいものですが、アップグレードが存在します。「キャンペーン」ではマップ上に配置されたショップから、「アーケード」では敵を倒したときのドロップや規定スコア毎に発生するショップから購入できます。ショット以外にも体力の上限アップとか3段ジャンプとかレーザーブーツとかいろいろ売ってます。装備はコスト制なのでなんでもかんでも身に着けることはできないのですが、コストの上限アップも購入可能。これが地獄の商売なのか。全体的に価格設定が高めなのも地獄感ありますが、クリア済みのステージに再挑戦もできるし、なんならエンドレスなステージも用意されているので稼ぎ放題ではあります。
稼ぎたければ恐怖と対峙せよ
実は『Hell is Other Demons』は”稼ぎ”がおもしろいゲームなんです。敵を倒すと「ジェム」をじゃらじゃらと落とすわけですが、しばらくすると落下してしまい、やがて消えてしまいます。効率よく回収するコツはショットを止めること。ショットを撃つのを止めると周囲にあるジェムがこちらへ向かって吸収されてくれるからです。このため、ずっとショットを撃ちっぱなしていたときとちょくちょくショットを止めたときで雲泥の差になります。とはいえ、ひらすら湧き続ける敵の間でショットを止めるのはなかなかに怖い。けれどもジャラジャラと吸い寄せられるジェムがだんだん気持ちよくなってきて…あ、これが吊り橋効果ってヤツ?
金で解決できないこともある
じゃんじゃか稼いでアップグレードをたらふく買えば楽になるのか、といえばそうとも限りません。体力やコストの上限アップは確実な強化ですがショットに関しては単純に威力が上がるわけでもなければ癖の強いものも多く、使いどころを選ぶ必要があるからです。特にボス戦。威力も必要だけどボスのパターンに合わせてダメージを叩き込みやすいのはどの武器か、どんな装備が生き残りやすいかを考えて構成していくことになります。このへんは攻略してるって感じがして大変楽しいですね。最悪、体力の上限を増やせばなんとかなります。ならなかったりします。
地獄の生は太く短く
「キャンペーン」クリアまで5~6時間ほどでした。アクションの腕次第ではもっと早くなるかも。ボリュームは少な目ですが、その分しっかり調整されているようにも感じました。序盤から中盤、終盤にかけて徐々に難易度が上がっていくところやボス戦のパターンや装備の構成などなど、丁寧な作りなのではないでしょうか。難点はとにもかくにも視認性。慣れてしまえば問題ないので許容範囲なのですが…。ともあれ、『Hell is Other Demons』は短時間で集中できるアクションを求める人にはオススメ。