【書籍】『超超ファミコン』 数多くのファミコンソフトをアツく紹介する現代のファミコンカタログ第2弾

前巻『超ファミコン』から1年、まだまだ語り尽せていなかったファミコンのあのタイトルやあのタイトルについて取り上げる続編がこの『超超ファミコン』。今回も数多くのファミコンソフトについて語りつつ、特別企画として堀井雄二氏へのインタビューとか押切蓮介氏と遊んだりとか、盛りだくさんで読み応えも十分。

前巻『超ファミコン』から1年ちょっとが経ち、続編『超超ファミコン』が発売されました。…えっ、もうそんなに経ったの? 時の流れの加速に残酷さ感じずにはいられませんが、ファミコン30周年が31周年になっただけと考えれば大した差ではないでしょう。しかし、30年以上経っても尚、心を惹きつけて離さないファミコンという存在の偉大さはものすごいわけです。

ちなみに前巻の感想はこちら。
参考:【書籍】『超ファミコン』 生誕30周年に寄せた愛のメッセージで懐かしい再発見を

あの頃の空気と共にアツく語られるファミコンソフトたち

超超ファミコン 目次よりタイトルラインナップ

『超超ファミコン』は、前巻と同様、3人のファミコンハンターたちが選りすぐりのファミコンソフトを紹介している本です。前巻『超ファミコン』では、すでに300ページ以上に渡って100本以上を語っているわけですが、ファミコンソフトは1000本以上なので、まだまだ語り尽せてはいなかったのです。「あれも足りない」「なぜあのゲームが入っていないのか」という要望に応えた1冊といえるでしょう。

前巻に比べるとページ数がやや減っており、取り上げられているタイトルの数も減っています。また、前巻でメジャーどころは大体取り上げられているので、今回はややマイナーどころも多くなっている印象。しかしその分、1本1本に対するページ数は増加傾向にあり、1本につき4ページ前後が割かれています。この辺りは、ライターさんが個人的に思い入れのあるタイトルだからこそであり、より熱い言霊を感じられるようになっていると言えるかも。

マイナーどころといっても、十分すぎるほど有名なタイトルなんですけれどもね。前巻で「これははずせないだろう」という超メジャータイトルに比べての話なので、聞いたこともないようなタイトルはほとんどないでしょう。「あー、あったなーこんなゲーム」「そうそう、こんなのだったよなー」と思い出に浸りながら読み進められるのは前巻と同じです。

今回もピックアップされているタイトルの中で、個人的に思い入れのあるソフトもたくさんありました。端っこが塗りつぶせずイライラした「シティコネクション」、1日1回クリアが日課になっていた「グーニーズ」、サソリベイダーに「!?」となった「スターウォーズ」。特に「さんまの名探偵」は、ゲームに興味のなかった父親が「それなんかおもしろいらしいやん?」といって買ってきてくれたことなどは今でもハッキリ覚えています。

上記はボクの思い出話ですが、ライターさんの思い出話がちょくちょく挿入されるのが楽しいところです。ファミコンの思い出はあの時代の雰囲気があってこそ。TVCMに釘付けになったとか、雑誌広告にワクワクしたとか、そういうのも大事なんですよね。だからといって「スーパーマリオ3」で1ページ以上もT上君の話に割かれてゲームの話をしていないのはどうなんだ。いや、いいんですけど。

4つの特別企画はどれもスペシャル

ファミコンソフトを語る以外に、今回も特別企画として4本の記事が掲載されています。堀井雄二氏へのインタビューと大森田不可止氏へのインタビュー、海外のファミコン事情を伝える記事、そして押切蓮介氏と一緒に遊ぶ企画の4本。

堀井雄二氏といえば「ドラクエ」シリーズの生みの親ですが、今回は「堀井雄二、ファミコン神拳を語る」と題されたインタビューになっています。少年ジャンプに連載されていたゲーム情報の記事「ファミコン神拳」の「ゆう帝」とは堀井雄二氏のこと。「ドラクエ」の最新情報がいち早く掲載されることでも注目を集めたコーナーでしたが、そりゃ本人だもの。「ドラクエ」シリーズがあれだけ熱狂的に受け入れられたのも「ファミコン神拳」の存在がいかに大きかったのかを再認識させられます。

「ゲームクリエイター大森田不可止が語るナムコとファミコンの黄金時代」では、大森田氏へのインタビューを通してファミコン時代のナムコの雰囲気を伝えています。ファミコン時代に最初のサードパーティとして業界を牽引したナムコとその開発部の状況ですが、やっぱ普通じゃないことをやってのける会社は普通じゃないなーと。

「海の向こうの超ファミコン事情 超NESゲームの世界」は、海外のファミコン事情の話。といっても、単にNES(海外製ファミコン)の話というわけではなく”超NES”、つまり、スーパーファミコン(SNES)発売後に登場した完成度の高いタイトルについて書かれています。日本でもスーパーファミコン発売後もファミコンソフトはしばらく新作が登場していましたが、それは海の向こうでも同じ。スーファミに対抗すべく開発されたファミコンソフトの完成度が高かったことも同じのようです。

そして最後は「ファミコンハンター、南武線を行く!」と題し、漫画家の押切蓮介氏をゲストに迎えて溝の口から川崎で遊ぼうという企画。押切蓮介氏といえば『ハイスコアガール』や『ピコピコ少年』というレトロゲームに深く関わる漫画の作者ですが、今回は『ピコピコ少年』の舞台を案内してもらおうという企画になっています。駄菓子屋へ行ったりゲーセンへ行ったり、不意にものすごくセンチメンタルなシーンもありますが、ともかく羨ましい。いいなぁこういうの。

まだまだ遊べるファミコンの道

『超超ファミコン』は前巻同様、過去を懐かしむだけの本ではありません。確かにファミコンは過去のモノですが、今でも十分遊べます。といっても、今のゲームを否定しているわけでもありません。「昔はよかった」なんていう頑固な懐古おじさんの本ではないのです。

ファミコンはかつてのゲーム少年だったおじさんたちの原点です。そして、いまでも戻ることができる場所でもあるのです。大人になった今、もう一度挑めばまた別のモノが見えてくることもあるでしょう。昔はクリアできなかったけど、さまざまなゲームを経験した今の自分なら…、あの頃は意味がわからなかったけど大人になった今なら楽しめるかもしれない。逆に、あの頃はどうしてこんなクソゲーに熱中していたんだろう、なんてこともあるかもしれません。

『超超ファミコン』は思い出がギュッと詰まった本ですが、思い出に浸るだけではありません。ここに掲載されているファミコンソフトはどれも非常に魅惑的に書かれています。知っているゲームも知らないゲームも、なんだか妙に楽しそうに思えてしまうのです。ライターのゲームに対するアツい気持ちがゲーム雑誌を穴が開くほど眺めていたあの頃に戻してくれるのかもしれません。

そんなわけで『超超ファミコン』、ファミコンに夢中になっていたかつてのファミコン少年たちはぜひとも読みましょう。前巻『超ファミコン』を読んでいないのなら、前巻からいきましょう。前巻が気に入った人なら今回もイケるはず。読んだ後はライターの熱に当てられてファミコンがやりたくて仕方がなくなるので、ファミコン実機かバーチャルコンソールの準備もお忘れなく。

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実際にファミコンで遊ぼう

さて、せっかく湧き上がるやる気がもらえたのだからじっとしているわけにはいきません。ファミコンソフトの収納ボックスから目についたタイトルを取り出して遊びましょう。本を読んだら実際に遊ぶまでが1セットです。

今回掲載されているタイトルでパっと浮かんだのはこの2本。特に理由はありません。

「おばけのQ太郎 ワンワンパニック」は当時、友人の家で誰もクリアできすに頭を抱えたゲームでしたが、今やってもやっぱり無理な気がしました。「シティコネクション」はダラダラと長時間遊んでいた記憶がありますが、今やっても端っこが塗りつぶせず残るのは変わっていません。それにしても、かたや犬に殺され、かたや猫に妨害されるゲーム。犬猫ってこんなに憎たらしい存在でしたっけ…。

前巻を読んだときとは違って、ファミコンをいつでも遊べるような環境を整えたので、遊び始めるとずっと遊んでしまいそうで非常にデンジャー。カセットを挿し替えるだけですぐに別のゲームが遊べるのは気軽でいいものです。とはいっても、なかなか認識してもらえずに何度も挿しなおしたりするハメになるので、そんなにすぐ起動もできないのが実際のところなんですけれども。

何にしても、ファミコンは押し入れの奥で眠らせておくには惜しい存在です。いつでもすぐに遊べるような環境を構築しておけば、快適なファミコンライフが送れるでしょう。ボクの場合、低価格なUSBキャプチャーと無印良品の収納ケースを利用しています。参考にどうぞ。

参考:【GV-USB2】低価格なUSBビデオキャプチャーでファミコン環境を構築してみた
参考:ファミコンのカセットを上手に収納する方法

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