劇場版ペルソナ3の第4章「Winter of Rebirth」を観てきたので感想とか

劇場版『ペルソナ3』の第4章、というか最終章の「Winter of Rebirth」を観てきました。サブタイトルが四季になっているので、冬の今回は最終回。ゲーム版の終盤である最後の選択から最終決戦までがアニメ化されています。ゲーム版をやっていれば”あの結末”であることは知っているのですが、それでも観る価値は大いにあるといえます。そのくらい、今回は出来栄えが素晴らしかったわけです。

※ネタバレを避けて書くつもりが避けきれてないのでネタバレあります、ご注意。

ゲーム版のストーリーを映像化するとなると、尺の問題ですべてを詰め込むわけにはいかず、どうしても圧縮したような内容になってしまうのですが、今回はストーリー終盤のみに絞り込まれており、むしろ原作以上に丁寧な心象描写がなされていました。ゲーム版では、主人公はプレイヤーの分身であり、最後の選択はプレイヤーに迫るからこその”重さ”があったわけですが、アニメでは主人公は結城理という1人のキャラクターであるため、少し違った展開で”重さ”をたっぷり描写する展開になっています。

その少し違った展開とは、最後の選択に際して主人公だけでなく、登場人物たちがそれぞれに向き合って受け止める描写の追加です。死の恐怖に抗って生きる意味を問う心の動きがとても丁寧になされているのです。あまりに丁寧な描写で、前半部分はかなり陰鬱な空気が続くため、正直しんどいくらいかもしれません。が、『ペルソナ3』における最終決戦はこの”重さ”がなくては成り立たないので、ここにたっぷり尺をとったのはナイス判断ではないかと。とはいえ、観ている最中は「陽が射す演出好きだなー」って感じだったんですけれども。

ともあれ、重く長い溜めの後は派手な最終決戦が待っています。溜めに溜めただけあって、バトルシーンのアクションは最高にカッコイイ。個人的にはコロマルさんがカッコよく動いて活躍してくれたので嬉しかった。好きなんですよ、コロマルさん。なのに、かわいらしいワンコ的な活躍ばかりだったので、今回は強くてカッコイイところが見られて大満足。

『ペルソナ3』のラストバトルといえば、RPG史に残る決戦だと思っているのですが、その印象に負けないくらい、映像化として申し分ない出来だったのではないかと。ゲーム版のようにアルカナの順に次々と攻撃を繰り出すニュクスに対し、主人公が同じアルカナのペルソナで対抗する展開がアツい。Ⅰ魔術師スルトにはじまり、Ⅱ女教皇スカアハ、Ⅲ女帝マザーハーロット、Ⅳ皇帝オーディン、Ⅴ法王コウリュウと続き、途中抜けますが、Ⅹ運命ノルン、Ⅺ剛毅ジークフリード、Ⅻ刑死者アティスときての13番目。死神のカードをみせて「これはアレだよな」と思わせてからのタナトス。このキター!感がたまらない。いや、ゲーム版ならここでタナトスの出番なんてないんだけどさ。いいんですよ、アニメなんだから。メサイヤも「なんだお前そんな強かったのか」って感じでしたが、アニメだからいいんです。いや、ゲームでももうちょい強くてもいいんですよアナタ。

気になる結末はゲーム版と変わらず…ですが、わずかな描写の差から、こちらの方がキレイに収まった感もあります。ここに至る過程を含めたら、とてもわずかな差ではありませんけれども。それより、個人的にはイゴールの「役割を終えた」ってセリフでちょっとしんみりしてしまいました。これを最後に声の変更って意味も込めてあるのだろうか、と思えてしまって…。

そんなわけで劇場版『ペルソナ3』も完結。すべて観終えて思うのは、すごく上手にまとめてある、ということです。ストーリーの長いRPGを時間の限られた映像に落とし込むのは難しいと思うのですが、それを見事にやり切ったのではないかと。長いだけでなく、主人公がプレイヤーの分身だったゲーム版から、結城理というキャラクターを主人公に据えて再構築した上で、大きな違和感もなく展開していくところも含めて、非常にうまく仕上げられているのではないかと思うわけです。とてもいいものなのでぜひ、観ましょう。

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