【ワルキューレの伝説】レトロゲームレビュー かわいい!だけじゃない 覚えゲーの確かな上達感もあるアクションゲーム

子供の頃に気になってはいたけどあまりプレイできなかったゲームはいろいろありますが、『ワルキューレの伝説』もそんな1本。レトロゲームがやりたい気分だったので、大人になった今、やってみました。いま遊んでもワルキューレのかわいさは変わららず、覚えゲーとしての上達感もあり、かなり楽しめました。

今回プレイしたのはPSアーカイブスで配信されている「ナムコミュージアム Vol.5」に収録されているモノです。アーケード版『ワルキューレの伝説』はWiiのバーチャルコンソールでも配信されていますが、「メトロクロス」「バラデューク」「ドラゴンスピリット」「パックマニア」も入っててお得な感じなので「ナムコミュージアム」版 にしました。アーケード版が縦画面であるのに対し、PS版は横画面に合わせてレイアウトが異なっていますが、概ねアーケード版に忠実な移植だそうです。

アーケードゲーム『ワルキューレの伝説』はファミコンの「ワルキューレの冒険 時の鍵伝説」の続編です。ファミコン版「ワルキューレ」といえば「ゼルダの伝説」風のアクションRPG。パッケージに描かれた凛々しくかわいいワルキューレも画面の中じゃ誰やねん状態。ファミコンの性能を考えれば仕方のないのですが、パッケージイラストの理想と画面内の現実とのギャップが与えたダメージは小さくありませんでした。

ワルキューレの冒険

ファミコンじゃ無理だとわかっていても、無茶であったとしても、”この”ワルキューレを動かしたい…。そんな男子の理想を現実にしてくれたのが『ワルキューレの伝説』なのです。

『ワルキューレの伝説』とは

『ワルキューレの伝説』は1989年4月にアーケードゲームとして発売されました。カラフルなグラフィックにコミカルなキャラクターと、いかにもナムコな雰囲気。当時、女の子が主人公のゲームは「奇々怪界」や「ワンダーモモ」などがあり、まったく存在していなかったわけではありませんが、それでも現代に比べればまだまだ珍しい存在。

しかも、これだけキレイなグラフィックとなれば、かなり目立つ存在でもありました。拡大縮小や多重スクロールなどを駆使したグラフィックをスーパーファミコンの登場する1年半前にやっているわけですから、そりゃ目立つってなものです。

ワルキューレの伝説 多重スクロールを駆使した美しいグラフィック

主人公のワルキューレは、当時のゲーメスト増刊のギャルズアイランドではぶっちぎりの人気1位を獲得。羽兜にスカートで剣と盾を持った姿は、後々までワルキューレ(ヴァルキリー)のスタンダードなデザインになるほどで、その影響力は計り知れません。ワルキューレは戦う女の子のデザインとして、1つの完成形なのではないかと。

また、本作は縦画面でのゲームになっています。ゲーセンの縦画面といえば縦スクロールシューティングですが、こちらはアクションゲーム。確かに弾を撃っているのでSTGっぽくもありますが、ボタンを押すことで剣を振り、剣を振ることで弾が出る、といった感じなので、プレイ感は間違いなくアクションです。

ファミコンの「ワルキューレの冒険」と同じくトップビューのアクションですが、こちらはステージクリア型。アイテムによるパワーアップや魔法による特殊攻撃もあり、お金を貯めてアイテムを買ったり、NPCとの会話があったり、隠し部屋で魔法を入手したりと、RPGっぽい要素も入っています。

ワルキューレの伝説 隠し部屋で魔法をゲットするようなRPG要素も

アーケードゲームっぽく2人同時プレイにも対応しています。2P側はサンドラという全身緑の怪人(実は農夫)になるのですが、このゲームはワルキューレを動かしたくてやる人が多かったためか、2人プレイをやってる人はあまり見かけなかったような…。

ワルキューレかわいい!かわいい!!

『ワルキューレの伝説』を語るなら、言いたいことは数あれど、結局のところ「ワルキューレかわいい!」の一言に尽きるのかもしれません。20年以上前のドット絵だというのに、2014年のいま見てもかわいい。このかわいさは本物。

ワルキューレの伝説 ワルキューレかわいい

いま見ると体力表示の顔が(^o^)にしか見えないのですが、どうでもいいことでしょう。

ややデフォルメされたゲーム画面中のワルキューレはそれだけでもかわいいのですが、豊富なアニメーションパターンがその魅力を加速させています。上下左右だけでなくナナメを含む8方向のモーションがあり、細かくよく動きます。ジャンプをすれば兜の羽がピコピコ動き、ダメージを受けて転ぶ姿さえキュート。ダメージを受けたときのパターンは特に豊富で、燃えたり溺れたり痺れたりペチャンコにされたり、表情も本当に豊か。

ワルキューレの伝説 ダメージを受けてもかわいい

この愛らしくてかわいいワルキューレを自分の手で動かせる、というのだから、それだけで元が取れる楽しさなわけです。動かしているだけで楽しい、というのは、アクションが気持ちよく壮快である、というだけでなく、動かす対象の魅力があれば、それだけでも楽しく感じられるのです。

そういった意味で、ワルキューレのかわいらしさは本当に逸材でしょう。豊富なアニメーションパターンも、込められた愛情の深さが伝わってきます。ワルキューレかわいい!!!

ムズかしいのかそうでもないのか

しかし、かわいいワルキューレに待ち受けているのは初見殺しの難易度です。『ワルキューレの伝説』の難易度は「ムズかしい」とも「それほどでもない」とも言われていますが、そのどちらも嘘ではないでしょう。というのも、本作は典型的な「覚えゲー」だからです。覚えてしまえばどうにでもなる反面、知らなければどうしようもないので、難易度の評価が分かれてしまうのでしょう。

「覚えればイケるというならムズかしくはないんじゃ?」と思われるかもしれません。確かにそうなのですが、覚えるべきことの中に、ゲームをやっているだけでは気付けないようなことも含まれているのが問題なのです。

アイテムの配置や魔法をゲットできる場所などはゲームをプレイしていれば自然と覚えていけます。が、魔法の選択中は無敵だからそれを利用して回避する、なんてことは自然と気付くものではありません。他にも、武器には弾数の制限があることも、攻略情報を見るまではわかりませんでした。(時間制限なのかと思ってた…)自然と気付けないことは覚えようがありませんから、難易度の評価が分かれているのではないかと。

ワルキューレの伝説 魔法選択中は無敵

あと、覚えゲーであるが故に、覚えていない人に対する容赦のなさもあるかもしれません。特に感じたのが、回復手段の少なさ。本作では体力を回復するアイテムはほとんど登場せず、ショップでも回復剤は高額になっています。コンティニューすればその場で復活できるため、体力が欲しければリアルマネーで回復しろと言わんばかり。

これについては、家庭用なのでなんぼでもコンティニューできるしいいや、と思っていたのですが、そうでもなかったり。というのも、魔法を取り逃してしまうと後々かなり厳しい状況になり、いくらコンティニューしてもどうにもならないほどキツイことになったりします。しました。

具体的には最終面の雷雲なんですけどね。あまりにも突破できないのでプレイ動画を検索してみたら、自分の知らない魔法を使って進んでいたので参考にならなかったという。

ワルキューレの伝説 雷雲はマジで難関

あと、魔力はコンティニューでも回復しないので、魔法でのゴリ押しもできないんですよね。魔力を回復できる場所を把握しておいて、計画的に魔法を使っていくのが本作を攻略する上で重要なポイントです。裏を返せば、把握できていない人は魔力の枯渇に苦しむか、魔力を抱えて死ぬか、ということになるわけです。

とはいえ、上述の自然と気付けない要素も、いまでは攻略サイトもプレイ動画もありますから問題ではないかも。そうなると、必要な知識を覚えた上でのプレイになるので、快適に堪能できるのかもしれません。覚えゲーは覚えるまではキツイ分、覚えた後は進めるようになる上達感が味わえて非常に楽しいですし。

そんなわけで、ボクの難易度評価は「ムズかしい」。覚えるまでが大変なのはムズかしいといっていいと思うのですよね。さらにいえば、1コインクリアを目指すなら「かなりムズかしい」。回復手段が乏しく1ミスが致命傷になりかねないため、1発も被弾しない気合が問われるゲームになるでしょうからね。本作では、かわいいワルキューレをどれだけ大切に扱えるかが問われているのかもしれません。

そういえばコトブキヤからワルキューレのプラモデルが発売されるそうです。立体化してもしっくりくるワルキューレのデザインは本当にすばらしいですね。

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