ヤギになって人間の生活を破壊する『Goat Simulator』がアップデートされてMMOっぽいものになりました。今度は中世ファンタジー風の世界で大暴れ。新しいヤギも多数追加されてますます愉快なカオスになっていますが、それ以上に「MMORPGの疑似体験」というネタの昇華ぶりが逸材。
『Goat Simulator MMO』ではなく『Goat MMO Simulator』。あくまでMMOのシミュレータであってオンラインではありません。パッチ1.1と同じく、無料でのアップデートになっているので『Goat Simulator』を所持していれば、新マップとして追加されています。
正直なところ、もうヤギになって暴れまわるという異常な光景を目にしても何も感じない程度には麻痺してしまっているので、「さすがにもう飽きたかな」と思っていたのですが、今回のキモは「MMOっぽさ」にありました。徹底してMMORPGを再現している姿勢には舌を巻きます。ネットゲームを題材にしたオフラインゲームはあれど、ネットゲームのリアルなお約束を詰め込んだシミュレータは前代未聞でしょう。
公式サイト:Goat Simulator
以前書いたレビューはこちら。
【Goat Simulator】レビュー ヤギの生活を完全に再現した本格派シミュレーター
【Goat Simulator】1.1レビュー 新マップに新ヤギと狂喜のボリュームアップ
MMOよりMMOっぽいオフラインのMMOシミュレータ
ゲームを開始するとタイトル画面で何やらログインしてサーバに接続しているような演出が入りますが、ただの演出であってあくまでオフラインの1人用ゲームです。また、最初にヤギの職業を選択できるようになっています。
職業は、Tank、Rouge、Magician、Hunter、Microwave、そしてNo Classから選択。いかにもMMOっぽいですが、Magicianは手品師、Hunterは釣り師、Microwaveはそのまんま電子レンジになっております。
従来のヤギシミュと同様、好き勝手に暴れまわってもよいのですが、今回はそれだけではありません。NPCからクエストを受けて消化したり、敵を倒して経験値を得てレベルアップしたり、本当にMMOのような要素が追加されているのです。
あまりにも本物のMMOっぽいため、最初のクエストでリンゴを集めながら「なんでこんなことやってるんだろう…」と思わず素になってしまうほど。
マップ上には多くのヤギが活動しており、まるで大勢のプレイヤーで賑わっているかのよう。フィールドでバトルしているヤギもいれば、ラグって瞬間移動して巻き戻っているヤギまでいる始末。パーティを組んでボスと戦っている様子なども見られますが、このボスって頭突きで一撃なんですよね…。
チャットウィンドウでの会話も活発で、「あのアイテムってどこにあるの?」とか「このゲームはもっとこうあるべき云々」とか「l2p noobs」とか、いかにもそれっぽい雰囲気を出しています。
個人的に関心してしまったのが他プレイヤーのヤギたちのキャラクターネーム。「xxCLouD STRyFExx」なんて名前を見つけたときは笑うより先に「イタい名前ネタって万国共通なんだな」と関心してしまいました。
他にも、リスポン地点に大量の死体が転がっているとか、街中で暴れると衛兵に斬られるとか、細かいところまでMMOっぽさを作り込んであるので、MMORPG経験者なら笑えるポイントも多いでしょう。
相変わらず狂喜の新ヤギたち
今回も新しいヤギが追加されています。ゲーム開始時に選べるヤギ以外にも、レベルアップすることで増えていきます。最初から電子レンジを選べる時点でいろいろおかしいのですが、ヤギの概念を覆すヤギばかりになっています。
足の生えた電子レンジと会話する足の生えた魚。どのへんにヤギ要素があるのかさっぱりわかりませんが、そういうゲームです。ちなみに、電子レンジはピザを排出するスキルと、足元を爆破させて吹っ飛ぶスキルを持っています。
こちらはJ■GEN。もはやなんとかGoatですらないネーミングにある種の開き直りを感じます。でも中身はヤギなんでしょう、たぶん。
これまでのバージョンで入手済みのヤギをMMOに持ち込むこともできます。たとえばShopping Goatで中世ファンタジー風の世界を駆け抜けることだってできますし、Classy Goatで滑りまわることもできます。
MMOで手に入れたヤギで旧マップへ遊びに行くことだってできます。とはいえ、モーションが作られていないためか、クマで自転車に乗るとひどい絵面になったり…。
もうフラフープとは比較できないボリュームに
MMOっぽさや新ヤギ以外にも、今回のマップにはネタが満載されています。たとえば、森の中に回転斬りができそうな剣がささっていたり(ヤギには抜けない引っ張れば抜けました)、マップのどこかにあるサーバールームのような部屋、ここで破壊活動をしてしまうと…なんてメタなネタまで。
※2014/11/23追記
抜けないと思っていたマスターソードを抜いてみたらえらく楽しいアイテムだったので動画にしてみました。目の前を爆発させるスキルが使えるようになるのですが、自分が吹っ飛ぶだけという残念な性能…と、思いきや、連打でどこまでも飛んでいける愉快なスキルになっていました。
Goat MMO Simulator – Master Sword – YouTube
10ドル出すならレンガかフラフープでも買った方がマシ、と開発者にいわせた『Goat Simulator』ですが、無料のアップデートが2回あり、値段以上のボリュームになってきた印象すらあります。やることは結局ヤギで暴れるだけといえばそうなんですけども。
そろそろSteamの秋セールもはじまりますし、年末年始のホリデーセールも開催されるでしょう。そのとき、もし『Goat Simulator』がセール対象になったら、フラフープよりもお得になることは間違いありません。ずっと迷っていたアナタ、そろそろヤギになるときがやってきたのかもしれませんよ。