【GoatZ】レビュー 『Goat Simulator』初の有料DLCはシビアでリアルなゾンビサバイバル

ヤギの生活を疑似体験できる『Goat Simulator』のおかげで、朝起きたときヤギになっていても平気になりました。しかし、ヤギになっているときにゾンビに襲われたら? そんな不安を打破すべく開発されたのがDLC『GoatZ』です。すみません、テキトー言いました。

あまりにも多くのゾンビゲームがリリースされる昨今、「もうゾンビはいいよ…」と感じずにはいられませんが、ヤギとなれば話は別です。

2014年、一大センセーションを巻き起こしたヤギシミュこと『Goat Simulator』のDLCが配信されました。これまでマップや新ヤギの追加アップデートは「ヤギはDLCにお金を払いたくないだろう」という開発者の意向もあり、無料で配信されてきましたが、今回のDLCはなんと有料。開発者の心変わりはともかく、本気度の高さがうかがえるところです。もはやレンガやフラフープとは比較にならないでしょう。

DLC『GoatZ』は開発者曰く「Steamで唯一のサバイバルゲーム、早期アクセス以外では」とのこと。なかなか完成しない『DayZ』に業を煮やしたのかどうかは知りませんが、とてもいい加減な感じで好感がもてますね。なんにせよ、『GoatZ』でフィーチャーされているのはサバイバルなのです。

公式サイト:Goat Simulator

ヤギとしてゾンビだらけの街で生き残れ

『GoatZ』は従来のアップデートと同じように、新マップと新ヤギが追加されています。今回は有料DLCということでそれだけではなく、新システムを引っさげた新たなゲームモードというべきマップの追加となっています。この新システムは、驚くべきことにチュートリアルが追加されるほどの内容になっているのです。

まず、『GoatZ』でのヤギは体力制になりました。ゾンビからの攻撃を受けるとダメージを受け、やがては死んでしまいます。そう、あの無法で無敵だったヤギも、ゾンビの前では死んでしまうのです。ゾンビマジ強い。

GoatSimulator GoatZ ヤギも死ぬ難易度

さらに、空腹度も追加されており、お腹が空くとヤギは死んでしまいます。空腹になるペースはかなり早く、5分に1度は何かを食べなければスリップダメージで死んでしまうほど。というか、死因は大体が餓死です。これほどまでにヤギの燃費が悪いことについて、開発者はこう言っています。「完璧にリアルなサバイバルモードというのは5分ごとに何かを食べなきゃいけない。Dean Hall(『DayZ』開発者)とGarry Newman(『Rust』開発者)がそう言ってたからね。」…だ、そうです。

そしてもう1つ大きな追加システムが、アイテムを組み合わせて武器を作るというもの。ゾンビたちはヤギのヘッドバッドではなかなか倒せないため、戦うためには武器が必要になります。レシピに書かれた素材アイテム2つを合成すれば完成、というシンプルなものですが、素材となるアイテムを見つけるのが大変。『Dead Rising』シリーズを思わせるおバカ兵器ばかりですが、見た目に反してかなり強力なので積極的に作っていきたいところ。

GoatSimulator GoatZ 武器の製造

特徴的なシステムとして、ランダムなチャレンジが与えられるシステムがあります。これは画面右上にお題が表示され、制限時間の内に達成すれば体力や空腹度にボーナスが入る、というもの。「ゾンビを10体倒せ」とか「乗り物を作れ」とか「窓を買え」とか、チャレンジの内容は多岐に渡ります。状況によってはかなり厳しいものもありますが、限られた食べ物や回復アイテムだけでは生き残れないため、かなり重要なシステムになっています。

そんな感じで、『GoatZ』は食べ物を確保し、武器を作り、チャレンジをこなしつつゾンビだらけの街で何日間を生き延びることができるかを競う、サバイバルゲームになっています。従来のヤギシミュのように、ヤギとしてただ暴れるだけのゲームとは一線を画す内容になっているわけです。ハッキリいってかなりムズかしく、食べ物やアイテムの配置を把握した上で的確にチャレンジをこなしていかないと生き残れないため、実況配信などにも向いているかもしれません。

GoatSimulator GoatZ 武器で戦うヤギ

ところで、今回のプレイヤーが操るヤギはゾンビヤギになっています。これまでアンロックしたさまざまなヤギを使う場合でもゾンビ化したものになり、緑色のウィルス的な何かをまき散らして人間や動物をゾンビに感染させられるようになっています。つまり、ゾンビとしてゾンビだらけの街でサバイバルするゲームになっているのですよね。サバイバルとはいったい、うごごご!

密度の濃いマップは広大な遊び場

GoatSimulator GoatZ ウィンドウショッピング

サバイバルなシステムが搭載された『GoatZ』ですが、体力や空腹度がない状態、つまりいつもどおりのヤギシミュとして今回の新マップを遊ぶこともできます。空腹度という名の時間制限がないので、のんびりとヤギ生活を謳歌できるというわけです。ただし、武器の制作はできなくなります。ゾンビが徘徊していないなら武器なんていりませんからね。

毎度のお約束である「金のヤギ」集めやさまざまなアトラクション、イースターエッグなど、かなりのボリュームでネタが詰め込まれています。オープンフィールドとしてそこまで広大なマップではないのですが、密度の高さもおかげで狭くは感じないのですよね。むしろ、いくら遊んでも遊びきれないように感じます。

マップの一角では、今回もメタなネタが炸裂しています。マップ中にあるCoffee Stain社の内部では、ゲームに寄せられたボロカスなレビューに涙する開発者がいたり、ゲーム世界のオブジェクトをせっせと作り続けている人々がいたり。

GoatSimulator GoatZ 酷評に泣く開発者
GoatSimulator GoatZ 押してはいけないボタン

ちなみに、この「押してはいけないボタン」を押すととんでもないことになります。軽い気持ちで押してみたらひどいことになったので押さない方がいいです。押してはいけません。いいですね?

ヤギの快進撃は続く

GoatSimulator GoatZ Goat of the Year

『GoatZ』は『Goat Simulator』のリリースから1年以上が経ってからの有料DLCなのですが、これまでの大型アップデートを大きく超えた仕上がりになっています。ともすれば出オチにしかみえないヤギシミュに燃料を絶やさず育て上げていく姿勢には、開発者のセンスを感じずにはいられません。もう一発ネタではなく、定番ネタとして昇華されたといっても過言ではないでしょう。

ところで、気が付いたらヤギシミュのプレイ時間が20時間を超えそうなんですけど、そろそろボクもヤギになれるのでしょうか。

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