【The Division】βテストを終えて~プレイ感は紛れもなくオンラインRPGだった

『The Division』のクローズドβテストをガッツリ遊んだので、プレイ感を書いていきます。本作はUBIソフトの手掛けるトム・クランシーシリーズの新作で、疫病で崩壊したニューヨークを舞台としたオンラインRPGです。公式に「オンラインRPG」とジャンル表記されていますが、実際にはオープンワールドなTPSなのでは?と思っていたら、やればやるほど納得のオンラインRPGでした。

ゲームの概要については、クローズドβテスト初日に書いたレポートを参考に。要約すると、TPSとしてはカバーアクション主体の平易なものだけど、経験値によるレベリングや武器の強化などRPG要素があり、敵味方の区別があいまいなオンライン要素が独特だと書きました。NPCの関西弁のインパクトがデカすぎて困惑してますが、大体あってるはず。

今回のクローズドβテストでプレイできるのは、ゲーム開始からミッション1つとサイドミッションをいくつか、それにダークゾーンと呼ばれる独自のオンライン要素です。プレイヤーのレベルは8までに制限されており、拠点の拡張もほんの少しだけで、スキルやアビリティなども多くが制限された状態でした。

これだけ制限された状態なので、早々にやることがなくなってしまったのですが、それでもダラダラと遊んでしまいました。なんといいますか、気がついたらマンハッタンを徘徊していたというか、オンラインゲーム特有の危険な香りがすでに漂っているのは間違いありません。危険なのは疫病のウィルスではなく、むしろこっちです。

やればやるほどわかるオンラインRPGなプレイ感

The division トレハンメインのオンラインRPG

詰まるところ、『The Division』でプレイヤーが行きつく先はトレジャーハントになりそうです。プレイヤーの装備品は多岐に渡り、武器はメインウェポン2種類とピストル1丁、防具はボディアーマーやマスクの他にホルスターまで含む6種類、さらに武器にはスコープやサプレッサーなどのMODを装着できるので、種類はかなり豊富。そして多くの装備品には体力アップやクリティカルダメージアップなどの効果が付与されているので、同じモノでも価値が変わってくるのです。

装備品の主な入手方法は敵を倒してドロップアイテムを拾うこと。敵が強ければ強いほどよい品を落とすので、ミッションのボスやダークゾーンのネームドNPCなどが狙い目になります。となると、ミッションを周回するとか、ダークゾーンで敵の出現ポイントを巡回するとか、そういうプレイスタイルになってきます。…おや?このプレイ感はどこかでやったことがあるような?

そう、これってMOとかMMOとかオンラインRPGそのものなんですよ。バトルのアクション部分がTPSになっているだけで、やっていることは完全にオンラインRPG。公式のジャンル表記に偽りはありませんでした。で、オンラインであるということは、当然1人ではなく、他のプレイヤーと協力して遊ぶこともできるわけです。となると、つまり。

すべてオンラインでやれるからこその沼地

The division サイドミッション

『The Division』はすべてオンラインでプレイできるようになっています。ダークゾーンやミッションはもちろん、通常のオープンワールド散策パートも他のプレイヤーと一緒に遊ぶことができます。フレンドと共に遊ぶことによって、ダラダラ続けてしまうようになるのはご想像のとおり。

オープンワールド散策パートでは、ドロップアイテムや収集品はローカル依存でバラバラっぽいのですが、サイドミッションの消化具合はホスト依存のようです。ということは、入った部屋によってはすでに消化したサイドミッションでも遊べる上、経験値と報酬はキッチリいただけるのでお得かも。サイドミッション開始地点までの意思疎通については、ホストがマップからマーカーを置くとメンバー全員に目的地までのルート表示が出るので、ボイスチャットなどがない野良部屋でもプレイしやすいかもしれません。

メインミッションは今回のクローズドβテストだと1つだけで、難易度はNormalとHardの2種類のみ。COOPでプレイヤー数が増えると敵の数が増えているような気がしましたが、ちゃんと数えたわけではないので気のせいかも。ボスのドロップ品が特によいので、特定のレアアイテムを落とすボスが明らかになれば、フレンドと一緒にぐるぐるマラソンする日がやってくるのかも。

The division_closedbeta ミッションのボス

そして、本作独特のオンライン要素であるダークゾーンがおそらくエンドコンテンツとなるでしょう。ミッションのボス並み強さをもつネームドNPCが徘徊しており、ドロップ品もピカイチ。なので、最終的にはここでトレジャーハントに勤しむ日々となりそうです。

ダークゾーンについておさらいしておくと、要するにプレイヤーキル(PK)可能な隔離エリアです。ここではプレイヤー同士が敵味方の区別なく撃ち合うことが可能で、殺されるとアイテムを奪われてしまいます。といっても、略奪されるアイテムはダークゾーン内で拾ったモノだけなので、身ぐるみ剥がされることはありません。また、ダークゾーン内で拾ったアイテムはそのまま持ち出すことはできず、ヘリポートでヘリを呼んで回収してもらう必要があります。ただし、ヘリを呼ぶとマッチング中の全プレイヤーに通知されてしまうため、ヘリが到着するまでの1分30秒、欲望に塗れた争いが起こったり起こらなかったり。

意外と平和だけどたまに嵐が訪れるダークゾーン

The division ダークゾーンは一期一会の共闘

PK可能な隔離エリア、なんて聞くと「こわ、近寄らんとこ」と思われるかもしれませんが、その実情は意外と平和でした。どちらかというと、強力なネームドNPCと戦っている最中に通りすがりのプレイヤーと共闘して、戦い終えたらお互いに回復スキルを使って別々の方向に去っていくような、心地よい無言の連帯感の方が多かった印象です。開発サイドは荒廃した世界では欲望のままにヒャッハー!して血で血を洗う争いになることをゲームで体験させたかったのかもしれませんが、モニターの前でゲームパッドを手にした人類はもうちょっと打算的で利口なようです。

というのも、クローズドβテストの段階では、リスクとリターンを天秤にかけると他プレイヤーを撃ち殺す必要はイマイチ薄いからです。他のプレイヤーを攻撃すると一定時間「ローグ化」して赤いマーカーがつき、マッチング中の全プレイヤーの晒し者になってしまうので、袋叩きにされるリスクがあります。そもそも奪ったアイテムが良品とは限りませんし、ヘリで回収する際にリベンジされる可能性だってあるので、リスクに見合ったリターンがない印象です。パーティを組んで無差別殺戮に走る集団もいないわけではありませんが、クローズドβテストでやれることがなくなったからそうなっているだけなのかなといったところ。

The division 赤い名前はローグの集団

じゃあ、ダークゾーンの存在価値って一体?となるかもしれませんが、これが十二分にあります。実際に殺されることはなくても、殺すことが可能である、という事実が緊張感を生んでおり、これが本作独特のプレイ感になっているからです。他のプレイヤーとすれ違うたびに、お互い銃口を向けるけど引き金は引かない、みたいな、変な緊張感があるんですよね。そういうときはエモーションでパタパタ踊ってみて「ボク悪いプレイヤーじゃないよ」アピールをしたりしてるんですけれども、ものすごく性格の出るところなんじゃないかと。

ここにおいて、「なぜ人を殺してはいけないのか?」という疑問に対するもっともシンプルな解答が示されています。「私はアナタを殺さない。だから、アナタも私を殺さないでおくれ」と。『The Division』は荒廃した世界を体験させることで、人類が欲望に任せて暴走するのではなく、根源的な倫理から最初の秩序を得るのだと表現しているのかもしれません。争うより協力した方がお得なのよ、というところも、そんな意図があるのだとすれば……いや、どうだろう。

The division ヘリポートでの死

ダラダラ遊べちゃう危険な香りのオンラインRPG

ともあれ、『The Division』は難易度もそこそこですべてがオンラインでプレイできるため、ダラダラと長時間やってしまうタイプのゲームであることは間違いありません。今回のクローズドβテストでは、スキル関連が大きく制限されていましたが、おそらくオンラインRPGとしてキャラクタービルド要素もあるでしょう。キャラクターのスロットは複数あるようなので、遠距離スパイパービルドとか、回復支援ビルドとか、まだわかりませんけども。

The division クローズドβテスト終了

ソロプレイヤーでもひととおりの要素は遊べるし、野良COOPもやりやすいシステムなので1人でも楽しめそうな雰囲気もあります。ダークゾーンだけは1人だとものすごく不安になりますが、略奪に走るモヒカン集団でもいない限りは無言で共闘できる空間なので、概ねなんとかなりそう。とはいえ、レベルやスキルに制限がなくなる製品版でどうなるかはまだ何とも言えません。レベル帯によるマッチングやダメージ補正などはあるんじゃないかとは予想してますが…。

クローズドβテストでわかったのは、『The Division』がトレジャーハントメインのオンラインRPGである、ということなので、この手のマラソンが好きな人なら沼の最深部まで到達できるでしょう。また、荒廃したニューヨークが美しいビジュアルで描かれているので、オープンワールドの散策好きにもたまらないと思います。ただし、オンラインRPG特有の時間泥棒っぷりを発揮しそうなため、購入の際にはリアル時間をよくよく検討していただきますようお願いいたします。

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