『Bloodstained: Curse of the Moon』をクリアしたのでレビューなど。クリア、というのはノーマルモードクリア後に解放されるナイトメアモードもクリアしてのことです。
「あれ?『Bloodstained』ってもっと現代風のHDなグラフィックじゃなかった?」って思われるかもしれませんが、今回レビューする『Curse of the Moon』は本編『Ritual of the Night』に先駆けてリリースされたスピンオフとなっております。となると、今度は「本編よりも先に外伝?」と思われるかもしれません。でもクラウドファンディングのストレッチゴール達成報酬ってそういうものなんでしょう、たぶん。
Bloodstained: Curse of the Moon ポータルサイト
本編が探索型なら外伝はステージクリア型
『Curse of the Moon』はパッと見の印象どおり、レトロスタイルなアクションゲームとなっております。グラフィックも8bitなファミコン風ならサウンドだって8bitなファミコン風。といっても、多重スクロールを駆使した美しい背景や滑らかに描写される派手なエフェクト、豊かな音色で表現されるクールなBGMはどれも現代だからこそ。どれも最高にカッコイイ。
『Curse of the Moon』はいわゆる”メトロイドヴァニア”、つまり探索型の本編とは違い、ステージクリア型です。過去の「悪魔城」シリーズも元はステージクリア型でしたから、ここから後にリリースされる本編が探索型に進化すると考えればちょうどよいのかもしれません。
この人たちは悪魔城を何秒で破壊できますか
『Curse of the Moon』の主人公・斬月は本編『Ritual of the Night』の主人公とは違うキャラクター。刀一本で単身悪魔城にカチ込む東洋の退魔師です。そんな装備で大丈夫か?…大丈夫か。最初は斬月1人ですが道中、というか前半ステージで出会う3人のキャラクターが仲間として同行することになります。
メインウェポンが鞭でサブウェポンに投げナイフや”十字架”のような軌道の鎌を扱うミリアム、炎や氷や雷の錬金術を操り分身までしちゃう爺さんアルフレッド、そしてコウモリを飛ばして攻撃しながら自らもコウモリに変身して飛んじゃうコウモリ男ジーベル。このうちミリアムとジーベルは『Bloodstained』本編にも登場するキャラクターです。というかミリアムは主役ですね。それにしてもミリアムさん、どこからどうみても完璧にヴァンパイアキラーじゃないですか。最高っス。
※2019/6/26追記
斬月とアルフレッドも『Bloodstained』本編に登場してますね。ストーリー的にはパラレル扱いなのだとか。
悪魔の城は伝統に則って攻略される
本作はこの4人のキャラクターを切り替えながら進むことになります。『悪魔城伝説』っぽいですね。悪魔の城に到達するまで5ステージ、さらに城の内部で3ステージという構成で、このへんも実に「悪魔城」。(ちなみに、”悪魔の城”というのは公式の設定)
前述のとおり、本作は探索型ではありませんがステージ中に分岐は存在します。大抵はキャラクターの特性を使えば別ルートに入れるようになっています。たとえば、ミリアムのハイジャンプやスライディングを使えば通れるとか、ジーベルでコウモリに変身して飛んでいけば到達できるとか。分岐や隠し通路の向こうには回復や残機アップアイテムがあったり、中には体力上限アップや攻撃力・防御力の強化アイテムもあったり。
探索型ではないのでステージ間を行き来するようなことはありませんが、ステージ内には探索要素がある感じですね。ちなみに、壁の中に肉…じゃなくて回復アイテムが隠されているのは「悪魔城」の伝統どおりなので、そこらじゅうの壁を殴って確かめていきましょう。
ボスたるものパターンにハマるべし
各ステージの最後にはもちろんボスが待ち構えています。どいつもこいつも苛烈な攻撃を仕掛けてきますが、所詮は初見殺し。パターンを見極めればノーダメージも夢じゃないです。攻撃のタイミングと回避に徹するべきタイミングがハッキリ分かれているあたり、どことなくインティクリエイツっぽさを感じてしまのはボクだけでしょうか。なんにせよ、パターンを構築していく感触はこの手のゲームの醍醐味。派手な攻撃をバカスカ撃ってくるボスも落ち着いて対処すれば完封できるようになります。こういうのは最高に楽しいですね。
ヤツの悪魔城がそんなカンタンに落ちるわけがない
とはいえ、やはり難易度は高め。レトロスタイルな見た目どおり、難易度もレトロな味付けとなっております。たとえば、敵と接触したときに「ウッ」と吹っ飛ばされて転落死…、という「悪魔城」のお約束もしっかり踏襲されています。めっちゃイラっとしますよね、あれ。懐かしい感覚ではあるのですが、やっぱり「ああんもう!」ってなります。
しかし、今回は難易度をカジュアルに設定することで敵と接触しても吹っ飛ばなくなります。実際に試してみるとよくわかるのですが、これだけでも難易度はガタ落ちになります。どんだけ凶悪なんだこれ…。ともあれ、カジュアルにしてもデメリットはないようなので、イライラしちゃう人はお試しあれ。
仲間を信じよ されば救われる
もっとも難易度の高さを感じるのは仲間が死んだ場合です。1人が死ぬとチェックポイントから残りのメンバーで再スタートとなるのですが、状況に適したキャラクターに先立たれると一気に厳しくなります。特にボス戦など、もっとも相性のよさそうなメンバーに死なれるとめちゃんこキツくなったりします。残機が失われるのは4人全滅した場合なので、そうそうゲームオーバーはないのですが、実質”詰み”みたいになってしまいます。
裏を返せば、すごく苦しいけどこのキャラクターの武器や特性を活かせばラクラク突破できる!って場面も少なくありません。なので、それが把握できるまでの試行錯誤中は難易度を高く感じてしまうかもしれませんが、これもパターン化しで快感に変わっていくはず。進めないときはいろいろ試してみましょう、特にサブウェポンは状況に適したものが配置されていることが多いため、突破口になりやすいです。見た目はファミコンっぽいですが、現代風のチューニングがなされていますから、あの時代のような理不尽さはありません。安心して攻略していきましょう。
悪夢を終わらせるまでが戦いです
ノーマルモードをクリアするとエンディング後にナイトメアモードが追加されます。「えっ?ハードもベリーハードもすっ飛ばしていきなりナイトメア!?」と思われるかもしれませんが、そこは「できらぁ!」と返しましょう。
ストーリー的にもノーマルでのエンディングの後の展開が描かれているため、これを終えなければ締まりません。たしかに名前はヤバそうですが、難易度的にはノーマルからハードになったくらいです。ちょっぴりムズかしくなってはいますが、ノーマルで1回クリアしているのであればなんとかなるでしょう。カジュアル設定もありますし。
特に、ナイトメアモードの最終決戦は激アツなので、ぜひともそこまでプレイしていただきたい。ネタバレはしたくないので詳細は書きませんがこのラストバトル、本当にマジでカッコイイんですよ。なので、ぜひ。
新たな伝説の幕開けを体験すべし
そんなわけで『Bloodstained: Curse of the Moon』、「悪魔城」シリーズファンにとってがたまらない1本になっていると思います。特にファミコン時代からのファンにとってはご褒美以外の何物でもないでしょう。個人的には『悪魔城伝説』はシリーズでも思い入れの深いタイトルなので、『Curse of the Moon』はとても自分好みだったし、パッと見の印象からの期待どおりかそれ以上のゲームでした。メトロイドヴァニアのファンにとっては物足りなさを感じてしまうかもしませんが、来るべき本編『Ritual of the Night』に備え、世界観やキャラクターの共通する『Curse of the Moon』で予習する意味でもプレイする価値はあるでしょう。まさにここから『Bloodstained』の伝説が始まっているのでしょうから。