【SDガンダム バトルアライアンス】レビュー

ひゃっほー! 久々にSDガンダムをグリグリ動かせそうな新作だぜ! ということで飛びついてクリアまでプレイしてきました。やっぱいいですよね、SDガンダム。

『SDガンダム バトルアライアンス』は多数のガンダム作品が参戦するアクションゲームです。ブーストを吹かして動き回るアクションやミッション形式で進行するシステムなど、ガンダムのゲームとしてはオーソドックスな印象。ですがアクションにしてもシステムにしても、手放しではちょっとオススメしづらい内容でした。なかなか人を選びそうなゲームです。

【公式】SDガンダム バトルアライアンス(バトアラ)|バンダイナムコエンターテインメント公式サイト

参戦作品とプレイアブル機体について

まず最初にガンダムのゲームとして1番大事な参戦作品とその扱いについて。参戦作品の一覧は公式サイトで確認できますが、それらの作品の扱いが同じ比重であるというわけではありません。ミッションとして存在する作品もあれば機体とキャラクターのみの参戦になっている作品もあります。具体的には、ミッションになっている作品は以下のとおり。

  • 機動戦士ガンダム
  • 機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争
  • 機動戦士ガンダム 第08MS小隊
  • 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY
  • 機動戦士Ζガンダム
  • 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
  • 機動戦士ガンダムUC
  • 機動武闘伝Gガンダム
  • 新機動戦記ガンダムW
  • 機動戦士ガンダムSEED
  • 機動戦士ガンダムSEED DESTINY
  • 機動戦士ガンダム00(2期)
  • 機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ

これ以外の作品は機体と搭乗キャラクターのみです。ミッション中に協力者として現れたり脈略なく敵として襲い掛かってきたりもしますが、ミッションとしては存在しません。

また、公式サイトの一覧で紹介されている機体を見て「なんか少ないな?」と思われたかもしれませんが、プレイアブルな機体は紹介されているもので全部です。ミッションとして存在している作品でも、Gガンダムからはゴッドとマスターのみ、ガンダムWからはウイングゼロとエピオンのみ、といった”主役とライバルだけ”みたいな参戦も珍しくありません。原作再現ミッションなのにヒイロしかいなかったりします。教えてくれ五飛。みんなどこ。

▲絶賛ソロプレイ中のヒイロ。悲しいね…。

大型のモビルアーマーなどは敵として登場するのみでプレイアブルじゃないのは仕方ないかもしれませんが、多くの量産機もザコ敵や味方として登場するのみで自分では使えません。体験版の時点ではジムやザク、ドムといった機体が使えるので勘違いしそうになりますが、他は全然使えるようになりません。ギラ・ドーガもGN-Xもグレイズも使えません。なんてこったい。

そんな歴史、修正してやる!

▲もしあの人とこの人が出会ってしまったら…。そんな楽しさはいろいろ詰まってます。

さて、次は本作のストーリーについてです。本作は参戦作品のストーリーをバラバラになぞるのではなく、1本のストーリーに沿ってさまざまな時間軸と世界とを体験していく展開になっています。舞台となるのは「G:ユニバース」と呼ばれるシミュレーターみたいなやつで、そこでは何者かによって歴史が歪められてぐちゃぐちゃになっているので、元に戻していこう!というのが大筋です。

ゲームの流れは、まず歴史を歪められた「ブレイク」ミッションで迷い込んでしまった他作品の人をブン殴って追い出し、元に戻った「トゥルー」ミッションで正史を追体験していく、といった感じ。他作品とのクロスオーバーに何かしらの意味が付けられているので、いろいろな作品を跨ぎながらも1本のストーリーになっている印象です。ともあれ、知らない世界に放り込まれたのにいきなり暴れてる皆さん、ちょっと落ち着いてください。

▲原作再現ミッションも好きな機体で乗り込んでOK! …歴史を修正とは?

さらにゲームが進むと「コンフューズド」ミッションが追加され、各ミッションのどこかに全然関係ない人が出現して暴れています。なんでここにこの人が?と、こっちが混乱しそうになりますが、単にドロップアイテム狙いのミッションなのでストーリーとはあまり関係ありません。ブレイクとトゥルーに加えてコンフューズドまでくると、さすがにボリュームの水増し感は否めないかも。

人は同じミッションを繰り返す、まったく

ゲームの進行はミッションクリア型です。ミッションに登場した機体はたいてい「設計図」をドロップするので、各機体ごとに決められた数を集めることで該当機体を使えるようになっていきます。また、使えるようになった機体は僚機として連れていくことも可能です。僚機として使う場合のパイロットは固定で、たとえばフリーダムならキラ、バルバトスなら三日月といった感じになります。ちなみに武者ガンダムや騎士ガンダムは彼ら自身がしゃべります。やったぜ。

▲強そうなヤツらほどたくさん必要な設計図。周回しましょう。

設計図以外に「拡張パーツ」もドロップします。これは各種ステータスをアップさせるアイテムで、性能はまちまちです。基本的にHP、格闘、射撃のどれかを上昇させるのですが、それ以外にさまざまな能力が付随しているので、ここがハクスラ要素になっています。1つ1つの効果は大したことなくても組み合わせるとバカにならない性能になることもあるのが面白いところです。

あとドロップするのは「キャピタル」(資金)で、基本はこれで機体を強化していきます。HP、ブースト、格闘、射撃のどれかを任意に強化していけます。上限を突破してさらに強化するためには別途アイテムが必要になるし、ステータスを伸ばせば伸ばすほど必要なキャピタルもガンガン上昇していくため、強化したければひたすら周回することになります。設計図を求めて周回してお気に入りの機体を手に入れたら、今度は強化するために周回です。やはりガンダムは終わることのない戦いなのです。

▲膨大なキャピタルが必要になる機体強化。お金は力。勝ちたければお金である。

こいつ…動くけどちょっと動きにくいぞ!

次はアクションについて。射撃と格闘で攻撃しながらブーストでダッシュしたりジャンプしたりする基本はガンダムのゲームとしてはオーソドックスな印象です。格闘には打ち上げてからの空中コンボなどもあるのですが、攻撃するだけでもブーストゲージを消費してしまうので、なかなかつらめ。ブーストゲージの回復自体は早いのでちょっと待てばいいだけなんですけどね。

▲空中コンボは気持ちいけどブーストゲージをモリモリ消費するので注意。

ただ、各種アクションをダッシュやジャンプでキャンセルしにくいので全体的に動きが固い印象を受けます。どうせブーストゲージで制限されているのだからホイホイキャンセルできてよかったのでは、と思わなくもないです。特に格闘は先行入力が効いているためか、倒した相手を殴り続けてしまうケースが頻発します。格闘は終わり際をガードでキャンセルできますが、どちらにしても動きが固い印象は変わりません。

動きにくい印象に拍車をかけているのがロックオンの挙動です。思ったところにロックオンしてくれなかったり勝手にロックオン対象が変わってしまったり、なんともぎこちない挙動になっています。敵が出現してからロックオンできるようになるまで微妙に遅かったり、倒した相手をロックオンしつづけたりとストレスを感じる部分の多々。ロックオンに関する設定はいくつかあるのですが、どう設定してもしっくりきませんでした。

※2022/10/12追記 アップデートでロックオンの挙動に関する設定が追加されました。具体的には、倒した敵に張りつき続けるロックオンを解除できるようになっています。おかげで幾分快適になりました。追記ここまで※

▲ロックオンがストレスになりがち。ロックオン・ストラトスではない。

他にもミニマップに僚機の向きまで表示されていて見づらいとか、敵が死んでからアイテムをドロップするまで妙に遅いとか、スペシャルアタック(必殺技的なやつ)のカットイン中も時間が流れていて敵に当たらないとか、細かいことを言い出すとキリがありません。ともあれ、アクションゲームとして「動かす気持ちよさ」がイマイチです。これって割と致命的では。

※2022/10/12追記 アップデートで倒した敵が速攻でアイテムをドロップするようになりました。これはマジで快適になっています。それからスペシャルアタックもカットイン中に相手の方を向き続けるようになったようで、前よりは当てやすくなっています。とはいえ、変な外れ方をすることもあるので機体によっては相変わらず使い勝手が悪かったりします。追記ここまで※

▲カットインはカッコいいですけど、この間も時間が動いているのはいかがなものかと。せめて初段ヒット後にしません?

なんかムズくね?

▲デカいヤツはだいたい強い。それがSDの世界。

実は難易度はかなり高めです。特にボス。だいたいすんごい強いです。

まず普通サイズのモビルスーツタイプのボスですが、みんなスーパーアーマーがついてます。なので、ゴリ押し厳禁です。「バランサーゲージ」を削りきれば一時的に解除できますが、またすぐに回復してしまう仕様です。攻撃を当て続けてもいいですが、ジャストガードを決めれば一気に削ることも可能。とはいえ、ジャストガードはタイミングがシビアです。というわけで、普通サイズでもボスはだいたい強いです。

※2022/09/10追記 モビルスーツタイプのボスについて。バランサーゲージは「ボスが攻撃アクションをすること」でもゴッソリ減るので、ボスの攻撃をガードや回避で凌いでからこちらのサブ兵装を当てることで速攻で削り切れます。あとは打ち上げ攻撃を当ててエリアルで美味しくいただくだけ。ジャストガードなんていらんかったんや…! とはいえ、サブ兵装の性能次第なところはあるので、結局は使っている機体によりけりです。追記ここまで※

▲戦いは数です。いくら強くても囲んで殴ればどうにかなる。ならないこともある。

それからモビルアーマーなどの巨大なボス。こちらはスーパーアーマーなのにバランサーゲージがない場合もあるので大変です。さらには、巨体に似合わない超高速の突進技などを持っている場合が多いのも大変です。見た目どおりHPも火力もやたら高いので、機体をしっかり強化していないと門前払いになります。ガードしてもけっこう削られてしまうゲームなので、アクションの腕でどうにかするにしても限界があります。しっかりと準備をしたうえで、攻撃パターンを見極めて攻略していく必要がありますね。

※2022/10/12追記 大型のボスについてもアップデートで調整が入っています。全体的に弱体化しています。具体的にはHPが減少し、ダウンもしやすくなり、耐ビームバリアも削りやすくなりました。それでもまだまだ強いですが、かなりマイルドになった印象です。追記ここまで※

▲デカいやつが鈍いとは限らないのがSDワールド。ハチャメチャしてきます。

ボス単体でも大変なのですが、1つのミッションに複数のボスがいる場合などは本当に大変です。ミッションの途中にチェックポイントは存在しないため、負けた場合は最初からやり直しだからです。一応、リペアキットという回復アイテムはいくつか持ち込めますし、僚機が生きている限りは起こしてもらうこともできますが、それでもけっこうしんどいです。

特に長いミッションの最後でやられてしまうとゲンナリします。心が壊れて人間ではなくなってしまう前に、難易度を下げるとかマルチプレイで協力してもらうとか考えた方がいいかもしれません。ボクはクリア後にマルチに参加してみたのですが、「これもしかしてマルチ前提なのでは…?」みたいな気持ちになりました。

▲3人で協力できるオンラインマルチプレイ。敵の数や強さは変わらないようなのですごい勢いでボスが溶けることも。

ともあれ、難易度が高めであること自体はいいのですけど、それによって機体の選択肢が狭まってしまっているのがつらいところです。1つの機体を強化するだけで資金はカツカツですからね。新しく手に入った機体に乗り換えたくてもすぐには乗り換えられません。

※2022/10/12追記 アップデートで入手できる資金が大幅に増えました。ミッションクリア報酬が3倍とかコンテナの中身が5倍とか、ハチャメチャな増加をしています。増加の度合いは難易度にもよって異なりますが、いずれにせよ資金稼ぎはずいぶん楽になるはずです。追記ここまで※

それでもお気に入りの機体が序盤で手に入る場合はまだいい方です。後半にならないと手に入らない場合、それまでずっと好きでもない機体でがんばらないといけませんからね。気持ちの面でもしんどいと思います。ボクは大好きな武者ガンダムが予約特典だったので幸運でしたが、もしそうではなかった場合、本作に対する印象はずいぶん違っていたと思います。

▲予約特典だった武者ガンダム。設計図は中盤あたりで入手可能。強さは普通だと思います。

やはり選ばれし者しか乗れないのがガンダムか

そんなわけで『SDガンダム バトルアライアンス』、ちょっとオススメしづらいゲームでした。とはいえ、周回してちびちび強化していくのが好きな人とか、マルチプレイで一緒に遊んでくれる人がいるとかならイケると思います。そうでない場合は正直オススメできません。根本的にアクションゲームとして動かしていてあまり気持ちよくないのが残念です。それもブーストでキャンセルできるタイミングを増やすとかロックオンの挙動を変えるとか、改善できれば化けそうな雰囲気もあるのでアップデートに期待したいところです。

※2022/10/12追記 アップデートに期待と書いていましたが、本当にプレイヤーの声に応えたアップデートが配信されました。本レビューで指摘していた問題もいろいろ改善されています。もちろんすべての問題が改善したわけではありませんが、改善しようという開発者さんの意思が実際のアップデートをもって示されたのは素晴らしいことです。今後もこういったアップデートを続けてくれるのかどうかはわかりませんが、なんにせよ、今から本作をプレイする人はずいぶんと印象の違うゲームになっていると思います。追記ここまで※

Switch、PS4、PS5、Xboxでは体験版が配信されているので、気になる人はまず体験版をやってみましょう。序盤のみとはいえ思ったより長めのボリュームですし、セーブデータは製品版へ引き継げますしね。