【サイバーパンク2077】『仮初めの自由』とアップデート2.0 レビュー

『サイバーパンク2077』の集大成となる大型DLC「仮初めの自由」、DLCにしてはちょっと高いかな~?と思ったのですが、実際にプレイしてみるとお値段以上の内容でした。元々すごいゲームでしたが、その拡張パックもやっぱりすごいぜ。

また、本DLCに先駆けてアップデートされた2.0により、ゲームプレイそのものが大きく変化しています。これもう新作では? というわけで、今回はあえてイチから再プレイしてます。元より200時間超プレイしていたのに、気付けば300時間近くに。やはりナイトシティは第2の故郷…。

公式サイト:https://www.cyberpunk.net/jp/ja/cyberpunk-2077

ゲームが大きく変わるアップデート2.0

まず、アップデート2.0について解説しておきましょう。これはDLCとは関係なく、無料のアップデートです。公式のパッチノートを見ていただければわかるとおり、めちゃデカインパクトの更新になっています。これが無料…? さすがに長すぎて読んでられないと思いますので、ポイントをピックアップして解説していきましょう。

▲ゲームの基礎部分に大きな変更が入ったアップデート2.0。これが無料だと…?

ビルド周りはガッツリ変更

大きな変更点としては、まずパークツリーの変更です。ツリー自体がガラッと変わっているのですが、そもそも1つ1つのパークも見直されているため、もう別物です。なのでキャラクタービルドが根本的に変わっていますね。過去のセーブデータを読み込ませるとリセットされているので、ポイントの振り直しを忘れないように注意。

▲強くなったと噂の近接ビルド、ガチです。

ちなみに、今回はカタナをメインとした近接ビルドでプレイしていました。高速のダッシュでビュンビュン動き回りながらバッサバッサと斬り捨てていくサイバーサムライスタイル、非常に爽快なのでオススメ。ブロックで弾丸を跳ね返せるようになっていたり、派手で痛そうな演出のフィニッシャーが追加されていたりもするので、ネタでもなんでもなく普通に強いビルドですね。

サイバーウェアでガチガチに決めろ

次に、衣装から性能がほぼなくなり、アーマーなどはサイバーウェアに統合されました。一部の衣装にはほんのちょっとだけ性能が付与されているのですが、あくまでオマケ程度。性能のために変な格好をする必要はなくなり(元々ワードロープ機能あるけど)、衣装のスロットにアーマー拡張をいっぱい差し込んでいた日々にもサヨナラ。装備としての性能はサイバーウェアがメインになっています。

▲性能のついた衣装は頭とアウターくらい。見た目はワードロープで設定しましょう。

新たなサイバーウェアはコスト制になりました。コストの許す限りいっぱい装備してゴリゴリ強化していけます。さらに各サイバーウェアをアップグレードすることで強化も可能。というわけで、ここにめっちゃお金を吸われます。収入を得るたびにリバードクに通う日々です。武器は拾えばいいですけど、サイバーウェアはそうもいきませんからね。とはいえ、高価なクロームで固めて強くなる、ってのは世界観にも合致してますよね。

▲重要度が増したサイバーウェアのアップグレード。お金がガンガン吸われます。

敵の強さがプレイヤー依存に

それから敵の強さがプレイヤー依存になりました。こちらのレベルに応じて敵の強さが変わるやつです。以前はエリアやミッションによって設定されていたので、急に強い敵に出くわすこともありましたが、そういうのがなくなりました。ママ・ウェルズに会いに行ったついでに近所のゴロツキに手を出したらボッコボコにされた…、なんてことはなくなりました。そういう理不尽を含めて楽しめる人にとっては残念かもしれませんが、遊びやすさは確実に上がっていると思います。

▲ボスもしっかり強く感じられるので存在感が増してます。

ちなみに、悪事を働いたときにやってくるパトカーと警官は強化されているようで、中でもその最上級にあたるマックスタックは強烈な強さになっています。どうしても理不尽と戦いたい人は彼らとやりあってみるのも一興かと。

▲手配度最高でやってくるマックスタック4人衆。マジでめちゃくちゃ強いです。

回復とグレネードはクールタイム制に

バトルにおける変更として、回復アイテムとグレネードなどの投げ物がクールタイム制になりました。大量に持ち込んだ回復アイテムでゴリ押しはできなくなっています。というか、上述の敵の強さの変更もあるので、そんなことが必要なケースがなくなってはいるのですけど。ともあれ、バトルのバランスはいい感じになりましたね。

▲消耗品ではなくなったため、気軽に投げまくれます。

この変更、何気に嬉しいのがインベントリがスッキリすることです。やけに種類の多い回復アイテムや大量のグレネードに圧迫されることがなくなりましたからね。所持重量の観点からも楽になりました。アイテム整理に割かれる時間も減るのでストレスも減ってます。

変更あるところに不具合あり

アップデート2.0の変更は大体こんな感じ。もちろんこれは一部であり、まだまだ他にも変更があります。なので、プレイ感はかなり変わっています。初期とは別物かと。全体的に遊びやすさがアップしている印象ですね。にしても、これが無料…? 普通なら続編とか新作とかでやりそうな内容が無料。とんでもないゲームだぜ。

ただ、変更点があまりにも多岐に渡るためか、またしても不具合が多発している模様。実際、クラッシュしてしまうものや進行不能に陥るものなど、クリティカルなものにも遭遇しています。とはいえ、本レビューを書いている時点で不具合改修をメインとしたパッチ2.02が配信されており、かなりの改善がなされています。この調子でどんどん良くなっていくことに期待しましょう。

▲なぜか話しかけられなくなっていたミスティさん、2.02パッチで修正されました。

Phantom Liberty

さて、ここからようやっとDLC『仮初めの自由』の話です。本DLCには新たなシナリオと新たなエリア、そして新エリアにおける各種サブクエストが収められています。DLCにしてはややお高く感じるかもしれませんが、お値段以上の内容が詰め込まれています。マジだぜ。

▲序盤から派手な展開が待っている『仮初めの自由』シナリオ。引き込まれます。

新エリア「ドッグタウン」

まず新しいエリアについて。ナイトシティの南に位置するパシフィカのさらに南側、そこが「ドッグタウン」と呼ばれる新エリアです。壁に囲まれ、検問所を通過しないと入れないエリアになっており、ナイトシティでもっとも治安が悪い場所となっています。かつては戦場になっていた場所でもあるため、倒壊した建物が多く、これまでのナイトシティとはまったく違った光景を見せてくれますね。半壊したスタジアムにできた市場、コンテナを積み上げた住居、それらと対照的と煌びやかな高級クラブ…等々、ナイトシティの新たな一面が描かれています。

▲半壊したスタジアム内にできている市場。こういう雰囲気にそそられます。
▲ボロボロの建物に厳重な警備が治安の悪さを物語っています。

スパイの世界で生き残れるのか

そして新しいシナリオについて。謎の人物からの連絡を受けてドッグタウンに行ってみれば、大統領機が墜落してさぁ大変。そこから始まるスパイスリラー、というのが『仮初めの自由』シナリオです。これまでの本編ではナイトシティを牛耳る巨大企業アラサカとそれに抗ったジョニー・シルヴァーハンドを軸とした物語でしたが、新合衆国のFIA(CIAみたいなやつ)の人々が中心になっており、今までのどれとも違った印象のシナリオになっています。

▲大統領の下で働く凄腕ネットランナーのソングバードさん。おつらい事情を持つ。
▲FIAのエージェント、ソロモン・リードさん。おつらい過去を持つ。

今回はスパイものということで、緊張感のある展開の連続。かつて裏切られたスパイとかつて見捨てられた軍人、そして利用され命の危機に晒されているネットランナー。いったい誰を信じればいいのか…。というか、もう誰も信じられない!みたいになってきます。スパイたちの騙し合いの世界を味わうことができるんですよ。そしてそれがめちゃ面白い。いやースパイこわい。

『サイバーパンク2077』においてプレイヤーの選択が重要なのは元からですけど、今回は輪にかけて重要に感じられます。たとえば、変装して敵地に乗り込んでの会話シーンなど、ひとつ間違えばどうなることやら、綱渡りのような緊張感がすごい。また、選択肢によって結末も変化するのですが、本編をプレイ済みの方ならおわかりの通り、完全無欠の大団円などは存在しません。ですよねぇ。でも、だからこその選択肢の重さ。これがいいんですよね。

▲誰も信じられなくなる中、緊張感のある選択肢が続く。

個人的にめちゃくちゃ気に入っているのが終盤の選択肢。ネタバレになるので詳しくは書きませんが、Aさんを選ぶか、Bさんを選ぶか、という超重要な分岐において、「Aに従う」とか「Bを信じる」とかではなく「Aを裏切る or Bを裏切る」になっているんですよね。どちらにしても誰かを裏切るしかない、どちらを選んだとしてももう片方を裏切ることになるんだぞ、と突き付けてくるわけですよ。いやぁ重い、辛い、とてもいい…。

ちなみに、『仮初めの自由』シナリオ自体の結末とは別に、そこから派生する本編のエンディングも追加されていたりします。こっちはこっちで既存のどのエンディングとも違った方向性の結末になっているので、できれば体験していただきたいところ。そうきたかァ~~ってなります。

新しい街には新しいお仕事も

シナリオは『仮初めの自由』だけではなく、ドッグタウンにおけるお仕事としてさまざまなサイドミッションが追加されています。こちらも選択肢により展開が変わるので非常に面白いんですよ。若干スパイテイストが混ざるものもあったり、でもFIAほど本格的じゃなかったり。もちろん、選択を誤ると速攻でバレでえらいことになったりします。なりました。

▲潜入のお仕事中に口を滑らせてセキュリティを呼ばれるワタクシ。スパイに向いてません。
▲サイドジョブでも緊張感のある選択肢を突きつけられます。こわい世界だぜ。

ちなみに、ドッグタウンはパシフィカのエリアになるので、仕事を依頼してくるフィクサーはミスター・ハンズです。本編だと顔が影に覆われててまったく見えなかった人ですね。今回は彼の出番も多く、なんとやっとお顔を拝見できたり…?

空からコンテナが!

また、ランダムに発生するイベントなんかも追加されています。その1つが物資の投下。ドッグタウンの各所に空から物資のコンテナが投下されることがあり、そこに群がっている敵との戦いになるものの、勝利できれば物資丸儲け、というものです。おいしいイベントなので赤い発煙筒が見えたらどんどん突撃しちゃいましょう。

▲突発イベント・コンテナ投下。おいしく稼げるのでもっと落としてくれていいんですよ?

盗んだ車で走り出せ

他には車を盗むイベントも追加されました。これはドッグタウンに限らず、ナイトシティの各地で発生します。対象の車を見つけたら乗り込んで目的地まで走る、といった内容ですね。物資の投下と同じようにイベントが発生する場所は決まっているようですが、発生するタイミングや車種などはランダム。これも報酬がおいしいので見かけたらやっておきたいところ。ただ、時間制限があったり敵に追いかけられたりもするので一筋縄ではいきません。

▲盗まれた車をぶっ壊す勢いで撃ってくる追っ手たち。どうして…。

ちなみに、アップデート2.0で変更されたパークの中には車の運転中に関わるものもいくつか追加されています。車に乗ったまま戦えるというわけですね。このためのパークなのか…?と思ったのですが、車を降りてから戦った方が楽でした。武装している車両なんかもあるんですけども、それでもやっぱり降りて戦った方が楽。そもそも車を傷つけると減点なので、乗ったまま戦う気が起きないんですよねぇ。

やっぱナイトシティは最高だぜ

そんなわけで『サイバーパンク2077』、アップデートのおかげでめちゃくちゃ変わってます。ゲームの基本となる部分が変わっているので、以前とは別物といってもいいかもしれないくらいです。なので、追加されたシナリオだけでなく、全編に渡ってまた新たな気持ちで楽しむことができます。以前のセーブデータから再開してもいいのですけど、最初からやり直すのをオススメしたいですね、マジで。これ元は3年前のゲームなんですよねぇ。いま見てもやっぱすげえなぁ…ってなれます。

▲今回、唯一の信頼できる人物ジョニー・シルヴァーハンド。印象が変わるかも。

もちろん未プレイの方にとってもオススメであることは変わりません。前より遊びやすくなってますし、よりオススメしやすくなりました。ただ、以前の攻略情報が役に立たなくなっていることは頭の隅に留めておいてください。シナリオはともかくキャラクターのビルド関連は完全に別物ですからね。とはいえ、ビルドの幅は拡がっているので好きに遊んでOK。思う存分ナイトシティを堪能してください。ナイトシティはいいぞ。

▲ナイトシティにはなんでもある。駄菓子屋ゲーセンだってある!…駄菓子はないかも。

『仮初めの自由』はDLCにしてはお高く感じるかもしれません。とはいえ、お値段以上の内容がありますし、『サイバーパンク2077』というゲームが気に入った方にはぜひとも体験していただきたいシナリオです。スパイ同士の中に入って誰も信じられなくなってほしいし、やっと信じられるようになってきたあたりで裏切らなくちゃいけない選択肢の重さを感じてほしい。ああ、つらい。たまらん。最高。

ドッグタウンへようこそ。