【アーマード・コア6】レビュー

いやぁ本当に出ましたね、「アーマード・コア」の新作。「ソウル」シリーズの大ブレイクから一躍世界的なヒットメーカーになったフロム・ソフトウェアですが、一方で同社の代名詞の1つであった「アーマード・コア」シリーズは息を潜めていました。あまりに長い時間が経過し、ネットではさまざまなミームが流れ、すでにそれすらも飽きられている状況でしたが、出ましたねぇ新作。世の中何が起こるかわからんものです。不測の事態には備えておきましょう。

で、新生した『アーマード・コア6』(以下、AC6)なんですが、第一印象としては「ムズかしいゲームになったなぁ」でした。もともと簡単なゲームではなかったと思うのですが、こういう方向性の難しさでもなかったですよね。なんといいますか、『デモンズソウル』以降のフロム・ソフトウェアのノウハウが「アーマード・コア」に投入されたような、そんな印象です。でも現代のフロム・ソフトウェアが作るとこうなった、という納得感もアリ。結果的にすげえ面白くなっているのでオススメの1本です。

▲チュートリアルに強いボスを投入してバズるの、味を占めてんなーとは思ってます

ちなみに、これを書いている時点で3周クリア済みです。火も点けたし友人もできたし向こう側へも行ってきたぜ! プレイ時間は46時間くらい。ボス戦のリトライでかなり時間をとられたと思うので、歴戦の傭兵ならもっと短縮できるはず。それはそうとボリュームは結構あります。満足感アリです。

ARMORED CORE VI OFFICIAL SITE | アーマード・コア6 オフィシャルサイト

現代の「アーマード・コア」はこんな感じ

▲カッコイイメカを作ってカッコよく決めたい! やっぱコレです。

まず、ザっとゲームの紹介をしましょう。『AC6』は「AC」と呼ばれる人型巨大メカを操縦して戦うアクションゲームです。いわゆるロボゲーです。メカなのでブースト吹かしてギュンギュンできるやつです。いいですね。しかもメカは自分でカスタマイズできるという。頭も体も腕も足も、武装もブースターもジェネレータもFCSも自分で選んで組み上げられる。いいですね! さらに色も塗れるしエンブレムを作って貼り付けたりもできる。最高。

シリーズの特色として、操作が複雑になりがち、というものがあります。とにかくボタンをいっぱい使った操作系なんですよね。それって「メカを操縦してる感」と合致しているので悪くないのですけれども、ブーストを吹かしながらも各種ゲージや残弾に気を配りつつ、敵機を視界にとらえながら複数の武装を使い分ける、というのはやっぱりムズかしい。そこにきて今作『AC6』ではカメラ視点を敵機に固定できる「ターゲットアシスト」の導入などで幾分動かしやすくなりました。あとボタンをいっぱい使う操作系にも現代の人類が追いついた、ってのもあるかもしれません。

▲ターゲットアシストがあるからか、高速でグルグルする敵が多いのが困りもの。目が回ります。

ゲームの進行はミッション形式。ミッションをクリアするとまた次のミッションが出てくる、といった流れです。内容は多岐に渡りますが、ボスのいるミッションはだいたいムズかしくなっています。とはいえ、ボス前にチェックポイントがあったり補給させてもらえたり、リトライ前に機体や武器の変更ができたりと意外なほどフレンドリー。や、ボスの強さはフレンドリーじゃないですけど。

▲チェックポイントからリトライできるからいいよね、という遠慮のなさが光るボスたち。

プレイヤーは傭兵なのでクリア報酬はもちろんお金。ミッション中に受けたダメージや消費した弾薬の分は支出として差っ引かれますけど、リトライを繰り返したからといって負債が積み上がっていったりはしないので安心です。また、1度クリアしたミッションは何度でも遊べるので、パーツを買うためのお金稼ぎも可能。コールサインが欲しかった人を何度も沈めてホクホクできます。

それからアリーナと呼ばれる1on1のバトルもあります。メカ同士のタイマンバトル!そうそうこれこれ!みたいなやつです。同じACなので強いと思った武器や戦い方が参考になったりするのがいいですよね。ミッション中に敵として登場するやつらにも言えますが、割とフェアです。あ、でもまだショップに並んでないパーツを使ってくるやつもいるからなぁ…。そうでもないかも。

▲相手の武装や戦い方も参考になるアリーナ。学びが多いです。

オンライン対戦にも対応してます。ランクマッチはなくカスタムマッチだけですが、1on1だけではなく、チーム戦も可。闘争し放題です。ただ、今回はミッションの共闘はありません。ちょっと残念。

ブッ込んでズドン!がルビコン流

今作『AC6』における特徴的なシステムの1つが「スタッガー」です。被弾すると耐久力だけでなくACS(姿勢制御システム)へのダメージも蓄積し、やがて制御不能になってちょっと動けなくなる、というもの。さらにスタッガー中の被弾は「直撃」扱いとなってダメージが跳ね上がります。なので、いかにスタッガーに持っていくか?が攻略の基本となっています。自分も敵もACSゲージは耐久直の上に表示されていますから、チャンスとピンチの状況がわかりやすく、バトルに攻めと守りのメリハリがつきました。ルビコンではとにもかくにもスタッガーです。スタッガーした奴から死ぬ世界です。

▲攻略の軸はいつだってスタッガー。おかげでわかりやすくなってます。

もう1つの特徴的なシステムは「アサルトブースト」です。メカだからブースト吹かしてビュンビュン動くのは当然なのですが、ブーストには2種類あって、1つは前後左右の任意方向に一瞬で動ける「クイックブースト」、もう1つが前方に向かってブッ込む「アサルトブースト」です。前者は回避に、後者は攻めに使う感じですね。重要なのはアサルトブースト中の射撃は「衝撃力」が高まることで、ACSへのダメージが上昇、つまりスタッガーを狙いやすくなります。ということで、アサルトブーストでブッ込んでズドン!が攻めの基本になっています。遠距離からチクチク撃つ戦法もできなくはないのですが、今作は接近するリスクに見合ったリターンがありますからね。ブッ込みましょう。

▲アサルトブーストでブッ込んでズドン! スタッガーさせたらさらにドン! 相手は死ぬ。

楽しい楽しいアセンブル

「アーマード・コア」といえばアセンブル、つまり自分の乗るメカを自分でカスタマイズできるやつです。パーツも多いけりゃパラメータも多い。複雑な数値と睨めっこすることになるわけですが、メカを組み上げてる感あっていいですよね。今作ではスタッガーに絡む要素、つまり衝撃力や姿勢制御などもあります。なのでかなり複雑なのですが、実際に組み上げてテストで動かしてみる、という試行錯誤の繰り返し自体が楽しいんですよ。今作はパーツの買値と売値が同じなので試しやすいってのもいいですね。

▲メカの数値はとっても多い。でも数値と睨めっこしながら組み上げるのが楽しい。

気になるのはアセンブルの幅ですが、思ったより幅はあると思います。あからさまに強い武器はいくつか存在しているものの、どうしようもない弱さの武器は少ない印象です。(この記事を書いている最中にアップデートでいくつか上方修正されましたし) 「もうコレだけでいいんじゃないかな」と思える強武器がある一方、「あれ?意外とコレもイケるな」と思える武器もある感じ。

選択肢が多いということは遊びの幅が広いということでもあります。ただし、何度も言うように今作は難易度が高めなので、こだわりを貫き通すのはプレイヤーの腕が問われるでしょう。状況に応じて組み替えるのが本作の攻略ですからね。タンクに乗るのも攻略です。

▲アセンブルで攻略してこその「アーマード・コア」。詰まったら「いろいろやろうぜ」です。

いろんな気持ちにさせてくれるストーリー

『AC6』のストーリーは惑星ルビコンにおいて「コーラル」と呼ばれるエネルギー物質を巡って企業やらなんやらと争奪戦を繰り広げる物語となっています。プレイヤーは独立した傭兵として戦いに身を投じるので、あっちの企業からの依頼を受けたと思いきや敵対しているそっちの企業からの依頼を受けたりします。また、ミッション自体が選択制になっていたりミッション中に選択肢があったりすることもあり、3周たっぷり楽しめる内容になっています。特に2周目以降はいろいろサプライズもあるのでぜひとも体験していただきたいところ。

▲印象的な人物ばかりの『AC6』。個人的にはスウィンバーンさんが好き。

ストーリー全般に言えることなんですけど、登場人物の顔が見えず、声とエンブレムのみしかであるにも関わらず、みんな印象に残るんですよね。といいますか「プレイヤーにどういう印象を与えたいか」が明確なんですよ。だからわかりやすいですし、わかりやすいからシチュエーションにも乗りやすい、という面はあるんじゃないかと。ゲームにおけるストーリーの見せ方、使い方として非常に上手いなーと思います。傭兵だから昨日の味方が今日の敵になってしまったりする。そこで何を思い引き金を引くのか。そういうところがとてもいいですよね。

▲終わってみれば印象に残る人が多すぎるルビコン。でも絶対に行きたくはないです。

おいでませルビコン

そんなわけで『AC6』、とてもよいロボゲーとなっています。カッコイイメカを組み上げてブンドドしたい方、歯ごたえのあるアクションをお求めの方にはオススメです。シリーズを経験しているかどうかはあまり問題ではないのですが、昨今のフロム・ソフトウェアのゲームである、ということは念頭においていただきたいところ。しっかりムズかしいゲームですからね。例のヘリの洗礼を受けて「なんやこのゲーム」と思うか「やったーフロムゲーだー!」と思うかはプレイヤー次第。オールマインドはすべての傭兵に期待しています。