【Fate/Samurai Remnant】レビュー

『Fate/Samurai Remnant』をクリアしたのでレビュー。3周ほどプレイして実績はだいたい埋まってからのレビューとなります。どうしてこのタイミングなのかというと、『FGO』の方でコラボイベントが開催されることになったからですね。(1月中旬予定とのこと) 

もっと正確に言うと、お正月ガチャに貯まった石を突っ込んで「出たらやろうかなー」などと考えていたら本当に出ちゃったので、Steamに走ってセール中だった『Fate/Samurai Remnant』を購入した、という流れになります。我ながら持ってる。…持ってるのか?

公式サイト:https://www.gamecity.ne.jp/fate-sr/

Fate無双────なのか?

『Fate/Samurai Remnant』はTYPE-MOONとコーエーテクモゲームスがタッグを組んだ「Fate」シリーズのアクションRPGです。この2社が組むということは……!といった内容で、概ね想像どおりのゲームになってると思います。つまり、「Fate」のストーリーを「無双」っぽいアクションで楽しめる!って感じです。比率としてはかなりストーリー重視。なので主に「Fate」シリーズのファン向けかなと。とはいえ、サーヴァントとは何ぞや、聖杯戦争とは何ぞや、みたいな説明があるので、ここから入るのも全然アリっぽい作りです。(今回は聖杯戦争じゃないけど) むしろ、ここからシリーズのファンになる人が出てきてもおかしくないんじゃないか、という気がします。

▲相手が人間なら「無双」できるけど、サーヴァントや怪異相手にはそうもいかない。

大江戸Fate

舞台は江戸時代の江戸。「盈月の儀」(えいげつのぎ)と呼ばれる聖杯戦争のアレンジ版みたいな戦いを、宮本武蔵の弟子である宮本伊織として戦い抜くストーリーとなっています。サーヴァントではなく1人のマスターの立場から聖杯戦争を体験するような感じですね。7人のマスターと7騎のサーヴァントが己が願いを叶えるため、万能の願望器をかけて戦う群像劇。それぞれの背景が交錯する物語はまさに「Fate」といった印象です。今回はさらにマスターを持たない逸れサーヴァントも召喚されているため、もうえらいこっちゃです。

▲シリーズファンならニヤリとするオマージュも……いやこのシーンはそうでなくてもわかるか。

カジュアルに楽しめる難易度

アクションについては、割とカジュアルだけど死ぬときは死ねる、くらいの塩梅です。人間のザコ相手にしてるときはバッサバッサ気持ちよく、怪異相手になるとちょっと手間取り、サーヴァント相手になると硬いわ痛いわでさぁ大変。といっても、回復アイテムがいつでもノーリスクで使用可能であるため、一応どんなときでもゴリ押しできます。そういう意味ではかなりカジュアルかも。難易度選択もありますしね。

▲なんなら攻撃を食らって吹っ飛んでる最中でも回復可能。おむすび万能説。

マスターならサーヴァントと共闘せよ

基本は主人公の宮本伊織で戦うことになります。彼はサーヴァントではないので弱い…なんてことはなく、しっかり戦えるだけの能力を有しています。さすがは武蔵の弟子。伊織はさまざまな「型」を切り替えて多くの技を行使したり、いくつかの「魔術」を使ったりもできるため、動きの幅はサーヴァント以上。そもそもストーリーでも、サーヴァントと渡り合って食い下がれるくらいの実力者として描かれているため、普通に強いです。やりますよ彼は。

▲作中でも「生まれる時代を間違えた」と言われる伊織くん。強いです。

対してサーヴァントはどうかというと、普段は勝手に動いて戦っており、ちょくちょくアシストしてくれたり協力技を使ったりできるようになっていて、共闘してる感が表現されています。また、ゲージが溜まると一定時間操作可能になり、その戦闘能力を存分に発揮できます。さすがというべきか当然というべきか、能力は段違いなので、サーヴァントというものがいかに強いかが実感できますね。

▲やっぱり強いサーヴァント。時間制限があるので交代するタイミングが重要。

十人十色のサーヴァントたち

サーヴァントの操作は時間制限付きかー、と思われたかもしれませんが、場面によっては無制限で使えることもあります。また、主人公・伊織のサーヴァントであるセイバー以外も操作できるサーヴァントは多数います。マスターを持たない逸れサーヴァントはもちろん、場合によっては敵対している陣営のサーヴァントを操作できる場面も。また、ゲームが進むと解放される「回想戦」では、過去に体験したボス戦を好きなサーヴァントで挑めるため、”推し”を使い倒したいマスターも安心。

残念ながら操作できないサーヴァントも何人かいて、具体的には、ライダー、キャスター、逸れライダー、それから金ピカのあの人です。逆に言えば、それ以外は全員使えるということです。やったぜ。登場するサーヴァントについては公式サイトを参照してください。

▲今回はランサーになっているジャンヌさん。別にオルタというわけでもない。
▲バーサーカーだけど技はセイバーっぽい武蔵ちゃん。『FGO』で見たことあるモーション多数。

攻守の切り替えがわかりやすいバトル

アクションについて、もう少し解説しておきます。全体的に軽快な動きでゴリ押しも可能なカジュアルさではあるものの、ゲーマーとしてはしっかり攻略したいですからね。

本作におけるバトルは攻撃と守備の切り替わりが非常にわかりやすくなっています。まず、敵が何かしらの攻撃をした後の隙は青白く光るので、攻撃のタイミングが明白。そして青白く光ったところに攻撃を当てると共鳴ゲージ(サーヴァントのスキルを使うためのゲージ)が溜まりやすくなっています。で、敵が赤く光ると強めの攻撃がくる合図。ここで共鳴絶技(サーヴァントのスキル)を当てると敵の攻撃を止めつつ大きな隙を作り出せるので、これまた攻撃のチャンスとなります。以上の流れをまとめると、避けて反撃してゲージを溜め、ゲージを使ってチャンスメイク、ということになります。これが本作の基本です。

▲敵が青白く光ってる時はチャンス。赤く光ってる時も実質チャンス。OK?

この基本に則ると、守りから展開を作っていくことになりがち。さらには、ジャスト回避からのカウンターでも大きなチャンスを生み出せるため、待ち気味の立ち回りが安牌。ゴリ押しとは正反対ですね。といっても、実際にはガン待ちするわけでもなく、ガシガシ攻撃しながらなんかきたと思ったら回避、ってくらいです。カジュアル! こういうのでいいんですよ。

▲ジャスト回避からの反撃がもっともリターンが高い。やはりジャスト回避は正義。

江戸のサーヴァントは硬い

さて、本作のバトルを語るうえで避けては通れないのが「外殻」の存在です。ボスやサーヴァントのみならず、ザコ戦に混じるちょっとデカイ敵もみんな持ってる「外殻」、サムライレムナントの戦いは外殻との戦いといっても過言ではありません。

▲白い円形のゲージが「外殻」。硬い、マジ硬い。

「外殻」とは要するにアーマーゲージのことで、これを削り切らなければまともなダメージが通らない、というやつです。こういうのを見ると「アーマーを割ってから大ダメージコンボだな?」と思ってしまいがちですが、本作における外殻はあまりにも硬いため、外殻を削るためにそれこそ宝具をブッ放すレベル。本当に「削る」という表現がしっくり感じるくらい、ちょびっとずつしか減らせないんだもの。

外殻ゲージを巡る戦いはもう1つあって、なんと割った後に再生するんですよ、これ。そこらのちょっと大きめのザコは再生しませんが、ボス格のサーヴァントはみんな再生します。外殻が割れた後、時間経過か残り体力か、条件はわかりませんが外殻ゲージが復活します。マジでゲンナリです。一応、アイテムで共鳴ゲージを回復させながら共鳴絶技を連発する等で外殻の再生を阻止できなくもないのですが、ダメージに何かしら補正がかかるためか、全然減らせないのでこれはこれで大変。

▲本作のゲンナリポイント、外殻再生。やめろ、当たり前のように再生するんじゃない。

「外殻」のせいでキャラクターの軽快で格好いいアクションとは裏腹に、爽快感は少なめです。やってることは同じでも、アーマーがあるというだけでこんなにも爽快感が失われるのかと。特に、体力ゲージをゴッソリ減らせることに快感を覚えるボクのような人間には辛めです。あと外殻とは関係ないですけど、宝具の演出中は体力ゲージを含む画面UIが見えないため、宝具でどれだけ減らせたのかがわかりにくいのもマイナスポイント。気持ちよくなりたいぜ…。

▲宝具演出そのものはどれも最高に素晴らしい。個人的にはキルケーがお気に入り。

ちなみに、マスターとサーヴァントによる2on2のタッグバトルになる場合、外殻はサーヴァント側のみでマスターにはありません。割とフェアですね。じゃあマスターから倒すね!と思ったら奴ら、倒しても復活してきます。それこそ絆礼装ヘラクレスのごとく。なんでや、マスター倒したら終わりちゃうんか!アンフェア! でも伊織くんもおむすびで回復し放題だし、やっぱりフェアなのかも…。

▲外殻はなくともガッツで復活しまくる敵マスターのみなさん。根性あるぜ。

探索がてら江戸を観光

アクションRPGということで、探索もあります。すなわり江戸の各所を巡って観光もできるということです。浅草、吉原、品川、日本橋…などなど、江戸時代のあっちこっちを見て回れます。各地にはその場所に応じたミッションが設定されており、達成報酬も用意されているので探索する価値は十分。とはいえ、どこも結構広いので虱潰しに走り回るのは骨が折れます。

▲吉原では桜が咲き浅草ではセミが鳴き日本橋ではススキが揺れる。季節感のオールスター江戸。
▲犬や猫はモフり放題。ボタン連打で癒されろ!(HPや共鳴ゲージ回復の効果アリ)

探索に関して1点、これだけはちょっと…という点がありまして。それは「名所」。該当する場所の近くで右スティックを押し込むことで発見できる、というものなのですけど、ボクは終盤まで気付くことができませんでした。なぜかというと、この操作のチュートリアルが表示されるタイミングが「名所付近で右スティックを押し込んだとき」だからです。当該操作をしないと表示されないチュートリアルとは一体??? 順序が逆では? と思うので、これから始める人たちがボクと同じ悲しみを味わわないためにも、修正していただきたいところです。名所付近を訪れたタイミングでチュートリアルを表示して操作を促す、というのが本来あるべき仕様ではないでしょうか。

▲当該場所で当該操作を行わないと表示されないチュートリアル。わかんないよ、そんなの!

強さを求めよ

もう1つ、アクションRPGとして、育成や強化の要素もあります。レベルは経験値で上がるタイプなのでゲームを進めていれば勝手に上がっていきますが、装備品はそうもいきません。主人公の刀につける4つのパーツにはそれぞれオプションが付いており、ある程度ランダムに付与されるようなので、ちょっとハクスラっぽい感じ。

▲いい感じのオプションが付くと嬉しい刀のパーツ群。ダメなやつはガンガン分解。

それからスキルボード。こちらは伊織だけでなく各サーヴァントにも存在しています。スキルポイントはレベルアップでも増えますが、探索やミッション報酬などで手に入るアイテムでも補充できるため、探索をすればするほど強くなれる仕組みです。といっても、スキルポイント用のアイテムは気付いたら貯まってるってくらい手に入るので、気軽に使っていけます。…とか言いながら、ボクはかなり余らせてしまいましたが。

▲お馴染みのスキルボード。条件が特殊なやつもあるので確認しておきたいところ。

2周目こそが本懐

本作がどういうゲームなのかはだいたいこんな感じです。でもここからが本番。本作のストーリーは選択肢によって分岐し、クリア後は諸々を引き継いでの2周目が存在します。となると、当然やりますよね、2周目。この2周目を前提とした作りが行き届いていて本当に快適なんですよ、本作。

たとえば、2周目は序章と1章をすっ飛ばして2章から開始することができます。もちろん既読スキップもあるので会話シーンもサクサク。カットシーンもスキップ可能ですが、未見のシーンを飛ばそうとすると警告が出てくれる。なんと至れり尽くせりなことか。もちろん強さやアイテムも引き継げるわけですからバトルもサクサク。マジで快適です。あんなにカチカチだった外殻ゲージが嘘のように切り刻めて……いややっぱ硬いわ。だいぶマシにはなるけれども。

▲早送りに既読スキップなど、2周目を快適に進められる作りは特筆すべき。マジ快適。

そんな快適な2周目ですが、楽しみはストーリー分岐だけではありません。2周目になると各サーヴァントごとのサイドミッション的なやつが増えるんですよね。内容は、一方その頃あの陣営では……、って感じなので、2周目だからこその楽しみ方ができます。そしてさらに……!って、あんまり書くとネタバレになりかねないんですが、選択肢による分岐以外の変化などもあり、2周はしないと完結しないんだなって感じなので、プレイするならぜひとも2周目の終わりまで見届けていただきたいところ。ボクは都合3周近くするハメになりましたが…。

▲多くは語れませんが、やっぱ主人公だぜ、伊織くん。

だいじょうぶ!Fateだよ!

そんなわけで『Fate/Samurai Remnant』、気付けば3周ほど、60時間近くもプレイしていました。それだけプレイできたのはやはりストーリーに引きつけられたからでしょうか。やっぱり「Fate」シリーズは強いですね。また、アクションについても、外殻ゲージはストレスでしたが、どのキャラクターも動かす楽しさは十分すぎるので、総じて良質な印象でした。

個人的には『FGO』のコラボイベント前に最後までやれてよかったなー、と感じてます。もちろん、後からやっても大丈夫だとは思いますけど、真名のネタバレなどは避けられないでしょうからね。かくいうボクもセイバーの真名は見ちゃってからのプレイでしたし。ストーリー的にも結構クリティカルなネタバレだよなぁこれ。ま、まあでも、うん!大丈夫ですよ、たぶん!

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