【メタファー:リファンタジオ】レビュー

やっとクリアできたのでレビュー。プレイ時間は100時間近くになっていました。いや、これは終盤になってからダンジョンで真面目に粘るようになったからであって決してダラダラやっていたわけでは…。普通にやれば70~80時間くらいじゃないかなと思います。ともあれ、アトラスのペルソナチームが手掛けたファンタジー、しかと堪能させていただきましたよ! なるほどこういう感じになるんだなーという、ある種の納得感がありましたね。

公式サイト:メタファー:リファンタジオ(Metaphor: ReFantazio)| アトラス

今回はファンタジーだぜ!

『メタファー:リファンタジオ』はアトラスのペルソナチームが手掛けたRPGです。完全新作ではあるのですが、ベース部分はほぼ「ペルソナ」(『P3』以降の)って印象なので、完全新作だけど完全新作でない、ちょっと完全新作な感じ。カレンダーと日程があり、期日までにクエストを消化しつつ仲間たちとの友好を深めていく。そしてバトルはお馴染みのプレスターン制。つまり、だいたい「ペルソナ」です。

▲諸々の要素が「これはペルソナでいうところのアレだな」ってなる感じ。経験者ならスッと入れます。

「ペルソナ」と大きく違うのは舞台設定。ファンタジー世界が舞台となっています。一言でファンタジーといってもいろいろありますが、『メタファー』の世界は重苦しい空気のファンタジー。多くの種族が存在し、種族間にはバリバリの差別が横行。王都の街も表通りこそ美しいが、裏通りでは野垂れ死んでる人がゴロゴロしてるくらいの貧富の差。その傍の絞首台では公開処刑が日常茶飯事。そして王様は暗殺され跡継ぎの王子もいない。もうね、先行きが不安ってレベルじゃない。絶対に住みたくないぜこんな世界。

▲差別と貧富の差、王と跡継ぎの不在、外には魔物だらけ。不安ばかりの毎日さ。

概ね「ペルソナ」をベースにしたファンタジー作品って感じなんですけど、実は「ペルソナ」シリーズだけでなく、アトラスのRPGファンならニヤリとできるポイントもいろいろあったりします。いやぁ「そうきたかァ~~~!」ってなりましたね。ネタバレになるので書けないのが歯がゆいですけども!

▲詳しくは書かないけどマジでいろんなアトラスRPGのネタが詰め込まれてます。

選挙で王を目指せ

そんな世界で何をするのかというと「次の王を決めるための選挙」です。ファンタジー世界の国を舞台としながら、やることは選挙なんですよね。プレイヤーの分身たる主人公もいろいろあってこの選挙に出馬することになり、他の候補者たちと競い合っていくことになります。「ペルソナ」シリーズでもその時代の社会問題を題材にすることはあったので驚くことじゃないかもしれませんけども、まさかファンタジー世界で選挙とは。

▲ファンタジー世界で選挙、という珍しい取り合わせ。その行く末はいかに。

この選挙がどういった話になってくるのかはネタバレになるので詳しくは書きません。が、支持者の異なる国民同士がヒートアップして暴力沙汰に発展している描写などは、嫌なリアリティがあるなぁ…と思わずにはいられません。といっても、『メタファー』世界の住人にとっては初めての選挙なわけで、エキサイトしちゃうのも仕方ないのかも。候補者も極端な人が多いですしね。

▲最有力候補者の1人、ルイ。(サイファーではない) なかなかカオスな公約を掲げてます。

誤解のないように補足しておくと、選挙が題材になっているといっても政治色バリバリのストーリーというわけではありません。ストーリーの主軸になっているのは「幻想(ファンタジー)とは何ぞや」であり、作り手の考える「これがワイの考える幻想や!」を叩きつけてくる物語になっています。「ファンタジー」を正面から描こうとしてるんですよね。これもネタバレになるので詳しくは書きませんが、「なるほどなー」ってなります。いや悪い意味じゃなく、「ペルソナ」シリーズの作り手が考えるファンタジー、という意味で納得感がありました。なるほどこうなるのだな、と。

▲「ファンタジー(幻想)とはなんぞや」に正面から向き合ったストーリー。

アクション要素が強まり傾向

では、ここからゲームシステムについて見ていきましょう。まず「ペルソナ」シリーズと少し異なるのはバトルシステム。ダンジョンを闊歩している敵シンボルに対して攻撃を当てることで先制できる、ってところは変わっていませんが、今回はアクション要素が強まっています。前転での回避も駆使しながらゴスゴス殴り合いをするようになっており、うまく殴り倒せば先制でコマンドバトルに臨めます。また、敵とのレベル差がある場合はアクションバトルのみで決着可能。サクサク進めるようになってます。

▲ただのシンボルエンカウントではなくアクション要素が強めに。

ただこのアクションバトル、アクションゲームとしては……うーんって感じ。3Dのアクションでありがちな難点、特にカメラワークの問題でストレスがあるんですよね。だいたいこの手の問題ってカメラワークの仕様というより、狭いところで戦わせるとかエフェクトで見えないとか邪魔な柱を配置しちゃってるとか、そういう問題なんですけども、本作も見事にやっちゃってる印象。経験値表示も相まって画面が狭いときに見えないところから殴られて「見えねぇ!」ってなる瞬間はマジストレスっす。なんとかなりませんか。

▲狭い場所、余計な柱、エフェクト…。視認性とのバトルはもう嫌だ…。

やっぱプレスターンバトルだぜ

アクションバトルで敵を殴り倒したらコマンド選択式のバトルの時間。こちらはいつものプレスターン制です。すなわち、弱点を突いたりクリティカルが出たりすれば行動回数が増えるやつです。このルールは敵側にも適用されるため、弱点を突かれたりクリティカルを出されたりするとずっと敵のターン!となりかねないのでスリリングな攻防が楽しめるってわけですね。また、スキルなどの演出はボタンを押すだけでスキップできるのでサクサク進行。めっちゃ快適です。

▲お馴染みのプレスターンバトル。なんだかんだでやっぱり面白い。

ただ今回のバトル、上述のアクションバトルと組み合わせると……うーんってところがあるんですよねぇ。というのも、アクションバトルで敵を叩いて先制できると、敵のHPが3~5割減る+気絶という超絶有利状況から始まる上、さらにノーダメージで勝てると経験値その他にボーナスがつくんですよね。クソデカリターンです。逆に敵の不意打ちを受けようものなら、被弾するだけでなく敵のHP10割と向き合う必要があり、消耗するわ経験値も減るわでクソデカリスク。こうなると、不意打ちを受けても一旦逃げてからアクションバトルをやり直しの方がマシじゃん!ってなるわけですが、そうしてる間ずっと不毛な感情にとらわれることになるんですよね…。なんとかなりませんか。

▲先制のリターンが高すぎて、不意打ちされても逃げてやり直した方がお得な現状。

ペルソナじゃなくてアーキタイプです

「ペルソナ」シリーズにおける「ペルソナ」に該当するやつ(=ペルソナぁ!とかいって呼びだして魔法とか撃ったりするやつ)は、『メタファー』だと「アーキタイプ」です。「ペルソナ」との違いは、仲間キャラクターも付け替えが可能である点です。(『P1』『P2』では付け替え可能でしたけど) また、ゲームが進めば「アーキタイプ」の種類も増えていくので、編成に幅が出てきます。とはいえ、主人公以外のキャラクターのステータスは自動で割り振られていくため、物理か魔法か、得意分野はおおむね固定。育成の方向性はある程度決まってる感じですね。でもその方がやりやすくて良いです。

各アーキタイプを育てて習得したスキルは最大4つまで継承して使うことができます。このあたりはアーキタイプやスキルの種類の増えてくる後半になると一気に面白くなってきますね。あのスキルとこのスキルを組み合わせれば…?みたいなことを考えてるときってめっちゃ楽しいですし! 実際、終盤には装備と合わせて反則級な組み合わせもあるのでワクワクが止まらないぜ!

▲主人公以外も付け替え可能な「アーキタイプ」。スキルの継承を駆使していろいろやれます。

あと今回は「ジンテーゼ」と呼ばれる合体技も使えます。合体技は「ペルソナ」シリーズにもありましたけど、『メタファー』では割と序盤から使えるのでザコ戦でもボス戦でも重宝します。序盤こそ単体魔法を全体化するくらいのものですけど、終盤にはやはり超強力な必殺技的なものもあります。やっぱいいよね、合体技。

▲合体技はロマン…という感じでもなく、序盤から実用性バリバリです。

遊びやすい難易度

難易度はほどほど。今回はノーマル設定でプレイしたのですが、「ペルソナ」シリーズと比較するとやや易しくなった印象かも。というのも、初見でもスケジュールに余裕があったんですよね。もちろん序盤や中盤では「大丈夫かな?間に合うかな?」と不安になることもあったんですけど、終わってみればわりと余裕でした。とはいえ、過去の「ペルソナ」シリーズでゲームの進行に慣れていたから、ってのはあるのかもしれません。

▲「ペルソナ」シリーズ経験者であればスケジュール管理もラクラク、かも。

また、次に向かうダンジョンやボスの情報をNPCから買えるようになったのもいいですね。敵の攻撃方法や行動パターン、弱点の属性などを事前に知れるのはデカイ。でもこれは難易度っていうよりストレス軽減かな? ボスまで行って戦い方を見てからセーブ&ロードして再編成して…、なんて手間が省けますからね。なんにせよ、快適なのはいいことです。

▲終盤の任意クエストでは「やっぱりアトラスだー!」ってなるものもアリ、安心(?)

王になろうぜ!

そんなわけで『メタファー:リファンタジオ』、相変わらず完成度の高いゲームでした。ただ、ベースが「ペルソナ」でありながら重苦しい系のファンタジー世界を舞台としているため、「ペルソナ」シリーズのファンであるからといって好みに合うかどうかは人によるかも。逆に「ペルソナ」シリーズが肌に合わなかった人でも『メタファー』は気に入ってもらえるケースもあるかもしれません。そういう意味で、オススメするかどうか、ちょっとムズかしい1本なんですよね。個人的には「いいからやれ!」って言いたくなるくらいなんですけれども! 特に「ペルソナ」シリーズに限らずアトラスのRPGが好きな人ー! やろうぜ!!

▲おいでませ『メタファー』の世界。

公式サイト:メタファー:リファンタジオ(Metaphor: ReFantazio)| アトラス

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