クリアできたのでレビュー書きます。
SFCの名作『神々のトライフォース』の続編、というタイトルが示すとおりの内容で、期待どおりかそれ以上の楽しさでした。見下ろし型の2Dなゼルダは懐かしさを感じさせますが、新アクションによる立体的な謎解きは、新しさも感じさせてくれます。
一気にクリアまで駆け抜けましたが、まさにタイトル通りの内容でした。
ボクにとっては、前作にあたるSFCの『神々のトライフォース』は思い出深いタイトルで、「ゼルダ」シリーズの楽しさを知ったゲームでもあります。
そして今回の『神々のトライフォース2』。
タイトル画面で回転するトライフォースにあの音楽、ハイラルのマップは記憶の中と同じ。
このマップをみただけで「懐かしい!」と思えるなら、もうそれだけで買いかもしれません。
回転斬りで草を刈ってもいいし、カカリコ村でニワトリを追いかけてもいいでしょう。
2Dの見下ろし型で、絵も音楽も前作に合わせたものになっていて、どこを切り取っても懐かしさの塊になっています。思い入れがあればあるほど、思いの深さが喜びに変わる作りですね。
もちろん、懐古するだけのゲームではありません。
ちゃんと『2』ならではの新しい部分があるわけです。
完成されたものに新しい要素を追加するのは難しいものです。
一歩間違えば蛇足、やり過ぎると台無し、おとなしすぎても存在意義を問われてしまいます。
元作品の完成度が高ければ高いほど、その難易度も上がるといっていいでしょう。
そこへきて『神トラ2』は実にうまく新要素を取り込んでいるのです。
古い要素と新しい要素が見事に融合した新旧のハイブリッドになっています。
2Dなのに3Dな”壁画”アクション
前作との違いでもっとも大きな差は、新アクションの「壁画」。
主人公リンクが壁画となり、壁の中に入ってしまえるアクションです。
普段は2Dの見下ろし型で進行するのですが、壁に入ると視点が変わります。
壁に入ったまま移動も可能で、これを使った謎解きが今作の中心といっていいでしょう。
壁画アクションを使った謎解きは2Dではできなかったことです。
これがあるために、実に立体的な謎解きが生まれているわけです。
2Dなのに3Dという不思議な感覚でありつつも、すんなりと理解できるのはさすがの一言。
アイテムのレンタル制による新たな文法
「ゼルダ」といえば、ダンジョンごとに新しいアイテムが登場し、手に入れたアイテムをうまく使って謎を解いていく流れでした。そしてダンジョンをクリアすれば、また次のダンジョンで新しいアイテムが待っています。
今回は、このいつもの流れがちょっと変わっています。
弓矢や爆弾など、攻略に必要なアイテムがすべて店売りになったのです。
これにより、攻略順が自由になり、どのダンジョンからでも攻略できるようになりました。
困ったら金で解決、これが現代の資本主義。
従来であれば、攻略すべき順番が決まっていますから、一度詰まるとそこでストップします。
最悪、そこで諦めてやめてしまう人もいるかもしれません。
しかし、今回は違います。
「こっちは進めないな、じゃあ別の場所へいくか」という方向転換ができるわけです。
できそうなところからやればいいのです。
といっても、実際には一度ダンジョンに足を踏み入れてしまえば、意地になって解こうとしてしまうので、ダンジョンに足を踏み入れるまで、の段階において、攻略順の自由度が光りました。ダンジョンの入り口にたどり着くまでも結構な謎解きが発生しますし。
アイテムの購入システムには、もう1つ、いいところがあります。
それは生存率の上昇。
アイテムはどれも高額で、最初のうちは低価格のレンタルに頼ることになります。
レンタル中のアイテムは、死んでしまうと回収されてしまいます。
死のペナルティがあるわけです。
なので、体力が減れば減るほど、「死ぬわけにはいかない!」と必死になれます。
やけっぱちになって敵に突っ込んだりしなくなります。
追い込まれれば追い込まれるほど集中力が増すのです。
おかげさまで、死亡回数はラストバトルの1回のみでした。
すでに全アイテムを買収していて気が緩んだ、というわけではありません。
あと、アイテムの値段が結構な額であるが故に、終盤までお金の存在価値が高いこと。
宝箱からルピーがでてもガッカリせずにいられたのは値段が高いおかげ?
といっても、今回の消耗品は自然回復のゲージを消費するだけなので、最終的には存在意義を失いますけど。
ちなみにゲージの名前は「がんばりゲージ」。魔法はともかく、矢や爆弾まで”がんばり”でどうにかしてしまうあたり、日本人の深い闇を見ているような気がしてなりませんが、たぶん考えすぎです。
頭に電球が灯る瞬間の快感はいつものゼルダ
ゼルダといえば謎解きの楽しさなわけですが、これはもういつも通りで安心して遊べます。
ゲーム開始からラストバトルまで、すべてにおいて謎解きが仕込まれています。
露骨ではなく、それとなく仕込まれたヒントを頼りに解いていく、あのヒントと答えのバランス感覚は相変わらず絶妙。簡単すぎると謎解きになりませんし、ヒントがなさすぎてもわかりませんから、このバランスが非常に重要なわけですが、毎度のことながらすばらしい調整です。
ナイスなバランスだからこそ、解けた瞬間の快感が得られるというものです。
とはいえ、前作経験者であれば、かなりすんなり解けるかもしれません。
ボク自身、思ったよりスムーズにクリアできたわけですが、やはり前作での経験が活きちゃったのではないかと。唯一「闇の神殿」でちょっと詰まりましたが、他は本当にサクサク気持ちよく進みましたね。
クリアするだけなら、腹八分のボリュームかなと思います。
いつものハートの器集めとか、ミニゲームとか、クリア後に解放される高難易度など、残りの二分を埋めるには十分すぎるほどのやり込み要素もあります。
そんなわけで、『神トラ2』は前作が好きだった人なら間違いなくオススメできる一品です。
「やっぱゼルダはおもしれーなー」としみじみ懐かしみながら楽しめると思います。
個人的には、クリア後のスタッフロールを眺めながら、ラストシーンはやっぱりあのシーンですよね?と思っていたら、そのとおりだったので大満足しております。
また、前作を知らない人でも、今回『2』が気に入ったなら、『1』もきっと気に入るはず。
間違いなく名作なので、バーチャルコンソールか何かで遊んでみてください。
最後に。
このアイリンとかいう娘が最高にかわいいですね。
こういう大きなお友達が大喜びしそうなキャラクターをしれっと入れてくるのだから任天堂は恐ろしいですね。今後ともよろしくお願いいたします。