【River City Ransom: Underground】レビュー 現代に転生した『ダウンタウン熱血物語』は良くも悪くも19xx年だった

『River City Ransom: Underground』をクリアできたのでレビューなど。1キャラクターのみに絞って進めたのですが、それでもクリアまでに10時間ほどかかりました。なかなかのボリューム…と言いたいところですが、右往左往していた時間が長かったため、まっすぐ進められていればグッと短縮できたかもしれません。かつてのファミコン少年たちはパッと見て「おっ」と思える本作、ビジュアルとノリは見事に「くにおくん」なのですが、難易度の調整や作り込みの粗さが目立ち、手放しではオススメしかねる内容でした。

ちなみに、『River City Ransom』とは「くにおくん」シリーズの『ダウンタウン熱血物語』の海外版タイトルで、本作『Underground』はその続編的な位置づけとなっています。Kickstarterで資金を調達し、現在の権利者であるアークシステムワークスより正式にライセンスを受けてリリースされる、という開発経緯もなかなか熱い。

ゲームはベルトスクロールアクションとRPGが融合した内容で、敵と戦って経験値とお金でキャラクターを強化しながらストーリーを進めていくものとなっています。時代設定が前作から数十年後であり、くにおとりき(海外版なのでアレックスとライアン)もすっかりおっさんになっているのですが、現役学生の新キャラクターたちも多数追加されているので、ギリギリ学園モノの体裁を保っているといえるでしょう。…いやどうだろう。

くにおくん愛を感じるビジュアルと”ノリ”

本作でまず目を惹くのがビジュアルでしょう。「くにおくん」シリーズをやったことのある人ならひと目見ただけでもテンション上がりそうなものです。ファミコンっぽいグラフィックからそのまま進化したようなイメージで、鮮やかな色彩でぬるぬるとよく動きます。こいつは最高だぜ。

背景も凝っていて見所多数。学校や公園、工事現場に倉庫など、原作を再現した場所もあります。さらにはドッヂボールやバスケットボールコートまであり、開発陣の「くにおくん」シリーズに対する愛情を感じずにはいられません。

River City Ransom Underground ドッヂボールコート
River City Ransom Underground バスケットボールコート

テキストの”ノリ”も「くにおくん」シリーズっぽさがあふれています。画面下部に流れる敵のやられセリフやショップ店員とのやりとりなど、まさに『ダウンタウン熱血物語』のもの。ローカライズ担当者の原作愛も感じずにはいられません。

そんな原作愛にあふれた本作なのですが、愛ゆえに、良くも悪くも原作どおりとなってしまっているのが問題でもあります。確かにファミコン時代はそうだったかもしれませんけれども、現代においては正直きびしいと感じてしまう部分が多々あるのです。

ここがマズイよ、くにおくん

・スタート時点の最弱っぷり
まず、初期状態が弱すぎること。育成要素があるので弱い状態からスタートするのはわかるのですが、それにしたって弱すぎる。技が少なくまともにコンボもできない状態でパンチを2発ずつ刻むしかないのは、アクションゲームとしての壮快感も何もありません。そんな弱っちい状態をすぐに卒業できるなら問題ないのですが、残念ながらそうもいかず。

・育てるのが大変
初期の弱さに拍車をかけているのが育成の厳しさ。本作の育成システムは経験値を稼いでレベルを上げることで各パラメータの最大値を上昇させたうえで、ショップでアイテムを食べたりサウナに入ったりすることで現在値を上昇させていく、という2段階システムになっているのですが、入手できる経験値もお金もかなり少なめ。技もショップで購入するので、強くなるためにはとにもかくにもザコ狩り。ちびちび小銭を拾ってはショップと狩場を往復していると「確かにファミコン版はそういうゲームだったな…」と思い出すことになります。が、現代においてこれはしんどすぎる。レベリングに割く時間でボリュームを水増しするのはもう禁じ手でしょう。

River City Ransom Underground 地味なレベル上げ

・進行のわかりづらさ
それからゲーム全般にわかりづらい部分が多いこと。次にどこへ行けばいいのか?何をすればいいのかがとにかくわかりにくい。たとえ目的地に辿り着けたとしても、敵を全滅させないとボスが出てこないとか、夜まで待たないとイベントが進行しないとか、目に見えない条件で止まってしまいがち。

River City Ransom Underground ワールドマップ

・ステータスもわかりづらい
わかりづらいのはゲームの進行だけではありません。各ステータスがどんな能力であるかも説明されません。「攻撃」と「強さ」がそれぞれ「技の威力」と「通常攻撃の威力」に分かれているなんて、あまりにわかりづらい。さらに酷いのがステータス画面における表記とメッセージに流れる表記で異なること。

たとえば、ステータス画面での「強さ」はメッセージだと「うたれづよさ」になっているし、「根性」は「エナジー」で「闘志」が「こんじょう」であるなど、ワケがわかりません。にもかかわらず「この技を習得するには根性が足りない」などと言われるものだからたまったものではありません。確かにファミコン時代はそういった手探り感もありましたけれども、これはあまりに紛らわしい。

River City Ransom Underground ステータス画面
River City Ransom Underground 強さはうたれづよさ

・壮快感よりもストレスが上回るアクション
こうした辛い状態を乗り越えてなんとかキャラクターを強化できたとしても、壮快なアクションが出迎えてくれるわけではありません。敵の動きがものすごくいやらしいからです。

後半になればなるほど敵のガードはめちゃくちゃ固くなるし、じゃあガードを掴んで投げようとすれば後ろの敵から殴られる。そもそも攻撃を当てるために前進したらこちらと同じ速度で後ろに下がっていくし、じゃあガードで待って反撃を狙おうにも敵の攻撃にさっぱり硬直がない。こちらのコンボ中に平気で割り込んでくるし、あろうことか空中に浮かせて追撃している最中でも割り込んできたりする。

こうしたフェアに感じられないバトルの最中、長い長いダウン時間が精神を蝕んでいくことになります。受け身はあるっちゃあるのですが、乱戦の最中に毎回成功させるのも無理です。過去の「くにおくん」シリーズでも敵のガードは固かった印象はありますけれども、さすがにこれはちょっとやりすぎでは。

River City Ransom Underground 固すぎる敵のガード

・理不尽がいっぱい
バトル以外の難易度も理不尽なところがいくつかあります。たとえば、中盤のイベントである牛乳運び。牛乳瓶を抱えて目的地まで移動すればいいのですが、敵に殴られると1発で瓶が割れてしまうのでやり直しになります。じゃあ瓶を置いて敵を全滅させながら進めばいいのかといえば、地面に置いた瓶にも敵の攻撃が当たるため、もう運を天に任せるしかない。そもそも画面を切り替えた時点で目の前に敵の突進が迫っていることもあるので理不尽という他ありません。

River City Ransom Underground 理不尽な牛乳運び

・どいてください一般人様
理不尽といえば、敵以外に街を歩いている一般人の存在もそうです。一般人に攻撃を当ててしまうと手配状態となり、経験値もお金も一切もたない警察が出動してくるので非常に厄介。この一般人たち、プレイヤーに対して何のメリットもないんですよね。なので、一般人がいるフィールドでは戦いを避けて走り抜けることになるため、一部のフィールドが死んでいるも同然の状態に。そもそもデメリットしかない要素が存在していること自体が疑問です。

River City Ransom Underground 邪魔なだけの一般人

・せっかくのオンラインも…
オンラインにも対応しており、最大4人までいっしょに遊べるのは嬉しいところですが、上述のちびちび鍛えなければならない要素や進行のわかりづらさがあるにもかかわらず、コミュニケーション手段がないため、協力プレイを楽しむのはかなり厳しいでしょう。何より、現状ではバグのためかホスト以外はセーブできないのが悲しすぎる。(2017/3/15追記・アップデートにより、セーブできるように修正されたようです)

他にも、転落した場合、転落した場所の直上で復活するために連続で落下ダメージを受け続ける、なんてこともあり、粗を挙げていくとキリがありませんが、そのくらい作りが粗いということです。これでは惜しいとすら言えません。もう残念です。ひたすら残念。

River Cityはまだ19XX年だった

River City Ransom Underground てつお

そんなわけで『River City Ransom: Underground』、「くにおくん」シリーズへの愛情はたっぷり注がれているものの、ゲームとしては粗さも多く、あまりオススメできないタイトルとなってしまっている印象でした。ファミコン時代の原作再現であるというなら確かに間違ってはいないのかもしれませんけれども、現代のゲームとして遊ぶにはあまりに厳しいのではないかと。せめて気持ちよくボコスカさせてくれるなら多少の粗さなど問題ではなかったのですが…、残念です。