【RUINER】レビュー サイバーパンクとしては最高だがゲームとしてはなかなかパンク

サイバーパンクな見下ろし型シューター『RUINER』をレビュー。電脳にハッキングに義体にネオンの光が彩る雑踏。サイバーパンク120%のレンゴクシティを舞台に、兄を連れ去ったヤツらを相手に銃とブレードでバイオレンスに立ち回る内容となっております。バリバリ撃ちまくりながらビュンビュン避けていると音楽の効果も相まってトリップするような気持ちよさが体験できるのが本作最大の魅力。…ですが、ゲームとして難点がないわけでもなく、万人にはオススメしづらい感じかも。

最高にサイバーで最強にパンク

RUINER レンゴクシティ

本作を紹介するならまず外せないのがサイバーパンクな世界とストーリー。主人公は電脳ハックを受けて操られていたところをハッカーの女の子に救われ、今度は女の子の言うことに従って連れ去られた兄を取り戻すために戦うことになります。電脳ハックとか聞くと『攻殻機動隊』を思い出しますが、別に公安というわけでもない一般人がブレードを振り回してチンピラや企業にカチコミするわけですから方向性は正反対。ハッカーちゃんがメスゴリラではないところも正反対です。

『RUINER』で素晴らしいのは主人公のデザイン。主人公は物言わぬタイプのプレイヤーの分身であり、フルフェイスのマスクで顔もわからないのですが、無味無臭のキャラクターというわけではありません。感情がマスクにテキストとして表示されるので、むしろ剥き出しの感情が見て取れるようになっているのです。無言で「Kill You」が流れる様は下手なセリフをしゃべらせるより殺意を感じさせます。ゲームのキャラクターとして逸材なデザインなのではないかと。何よりカッコイイ。

武器も弾も現地調達がレンゴクスタイル

あふれる殺意はゲームにも反映されています。『RUINER』は見下ろし型のシューティングで、左スティックで移動しながら右スティックで狙いをつけて全方位から襲い来る敵を撃ちまくっていくゲームです。銃による遠距離攻撃だけでなく、ブレードやハンマーによる近接攻撃もあり、瞬間移動のようなダッシュの存在もあるのでアクション性も高くなっています。

弾数やブレードの耐久値には限りがあるため、武器は使い捨てが基本。敵の落とした武器を拾っては撃ちまくり、弾切れしたらまた拾う。この繰り返しです。なので、いろんな種類の武器をバンバン使うことになります。サブマシンガンやショットガンはもちろん、レーザーや火炎放射器までなんでもござれ。バイオレンスの限りを尽くすことができるでしょう。

弾丸よりも速く走れ

『RUINER』で特徴的なアクションの1つがダッシュ。ダッシュといってもシャカシャカ走るわけではなく、一定距離を一瞬で詰める高速移動になっています。弾を避けるのに使ってもよし、敵に接近するのに使ってもよし。攻防にわたって攻略の要となるアクションです。敵も同じようなダッシュを使ってくるのでハイスピードで目まぐるしいバトルになるのですが、主人公はさらにダッシュを連続で使うこともできるため、加速が倍プッシュでスピードがヤバい。ヤバすぎて世界が止まるレベル。

連続ダッシュの移動先を指定している間は時間が止まるほどスローになります。なので、戦況を見ながら優位な場所に一瞬で移動できます。ピンチが一転、大チャンスに。まさに「地の利を得たぞ!」といった気分になれます。とはいえ、ダッシュの回数にも制限はあるので、むやみに走り回っているといざというときにバテてしまいます。ご利用は計画的に。

弾丸が止まって見えるけど俺も止まってた

もう1つの特徴的なアクションがリフレクスブースター。要するにスローモーションです。エネルギーゲージの続く限り、周囲をスローにできるので、敵の攻撃を回避するのに便利。ただし、加速装置というわけではなく自分もスローになってしまうので、一方的に攻撃を加える時間というわけではありません。スローの間に弾を避けつつ状況を把握して次の行動に繋げよう、という時間になっています。本作はゲームスピードが早いので頻繁にお世話になることでしょう。というか、これがないとサクサク死ねます。あっても死ねます。

サイバーなアビリティでキメろ

主人公の能力はダッシュとリフレクスブースターだけではありません。ゲームを進めることで入手できるスキルポイントを消費してさまざまなアビリティを習得することができます。アビリティには弾を防ぐシールドや周囲をスタンさせる電撃、ブレードから衝撃波を出すものなど、多岐にわたります。ポイントの振り直しはいつでもできるため、いろいろと試せるのがありがたいところですね。

パンクな操作系にお手々もパンク

『RUINER』はアビリティを駆使しながらバリバリと気持ちよく撃ちまくれるゲームであるのですが、一方で難点がないわけではありません。個人的にはもっとも難アリと感じるのは操作系。本作はキーボード&マウスとパッドのどちらにも対応していますが、両者で操作感が異なるのはもちろん、ゲームとしてもかなり変わってしまう印象があります。

というのも、キーボード&マウスでの操作時はマウスカーソルが照準になるのですが、パッド操作だと照準が表示されないからです。なので、パッドだととにかく狙いにくい。さらには、照準の位置がそのまま連続ダッシュの指定座標カーソルになるので使い勝手がよいのですが、パッドだと足元からカーソルを動かさないといけないのでやや手間です。じゃあキーボード&マウスで操作すればいいじゃん、となるわけですが、本作は操作に使うキーが多いため、慣れるまで大変。せめてキーコンフィグがあれば、マウスの追加ボタンに割り当てができたのでしょうけども、残念ながら本作にはキーコンフィグが存在しません。(※2017/10/13現在) キーコンフィグを搭載するか、もしくはもう少し操作をシンプルにするか、何かしらの対応が欲しいところです。

Hello Darkness

そんなわけで『RUINER』、サイバーパンクでバイオレンスな雰囲気は最高なのですが、ゲームとしては万人にはオススメしかねる出来です。とはいえ、サイバーパンクが好きでこのビジュアルに惹かれたなら、さほど問題なく楽しめるのではないかとも思います。難易度は決して低くはありませんが、クリアまで5~6時間のボリュームですし、Easyも完備されているので気軽にバイオレンスできることでしょう。シューターとしてやや粗く感じるところもありますが「細けぇことはいいんだよ!サイバーでパンクなんだからよ!」という方ならたぶん大丈夫。レンゴクシティへ行きましょう。

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