【Odallus: The Dark Call】レビュー ストイックな男気あふれるファミコン風の探索型2Dアクション

いかにもファミコン風なグラフィックが目を引く『Odallus: The Dark Call』は、見た目も中身もファミコン時代を強く意識した2Dアクションです。オーソドックスなジャンプ&アタックのアクションで、本作ならではの独自要素はほとんどありませんが、ソード1本と腕力ですべてを叩きのめすところに男気を感じずにはいられません。

最近、この手のレトロスタイルで探索型の2Dアクションが多いような気がしますが、どれも完成度が高くておっさん的にはホクホクです。『Odallus』もそんなレトロな”メトロイドヴァニア”の1つ。といっても『メトロイド』要素はあまりなく、ほぼ『悪魔城ドラキュラ』ですね。

公式サイトOdallus: The Dark Call
Steam:Odallus: The Dark Call

昨今のファミコン風の2Dアクションといえば、『Axiom Verge』のバグっぽい演出とか、『Shovel Knight』での死亡のペナルティが『デモンズソウル』風であるとか、何かしらの独自要素や新時代との融合といった”味付け”がみられましたが、『Odallus』ではそういった要素もあまりなく、どこまでもプレーンなファミコンスタイルが貫かれています。それこそが、本作の特徴だといえるかもしれません。もちろん、背景の多重スクロールなどはファミコン風であってファミコンではないのですが、攻撃を食らって「ウッ」とかいうのはまさにファミコン。

http://www.moguragames.com/entry/axiom-verge/

男なら剣1本で戦うべし

『Odallus』はジャンプ&アタックのオーソドックスなアクションになっています。メインウェポンはリーチの短いソードですが、斧や槍、松明といった弾数に制限のある投擲武器もあり、『悪魔城ドラキュラ』を彷彿とさせますね。とはいえ、基本はソードです。鞭のようにパワーアップでリーチが伸びることもなく、ストイックで男気あふれる武器になっています。開発者曰く、『魔界村』や『デモンズブレイゾン』にインスパイアされたとのことですが、どちらかといえば『アクトレイザー』が近いプレイ感かも。

ゲームが進むにつれて、ダッシュや2段ジャンプなどのアクションが増えていくものの、奇をてらったアクションはなく、とにかくオーソドックス。もうオーソドックスを超えて平凡といってもいいくらいかもしれません。ファミコン時代から慣れ親しんだアクションで構成されているわけですから、当然といえば当然なのですけども、剣1本で戦う男気あふれるスタイルは、ともすれば地味と感じてしまうほどです。

とはいえ、そんな平凡なアクションであるにも関わらず、最後まで飽きずに遊べてしまうのは、敵のパターンやステージの構成などが上手に作り込まれているからに他なりません。ステージごとに違った敵が出てくるので、そのたびに新たな攻略を練る必要があるものの、アクションがシンプルな分、攻略も気付きやすくなっているのですよね。ゲームを進めるにつれて徐々に上昇していく滑らかな難易度曲線や、水中から雪山に至るステージのバリエーションもあり、退屈することなく楽しめました。

探索型だがステージクリア型に近い構成

探索型の2Dアクションですが、どちらかといえばステージクリア型に近いプレイ感になっています。というのも、各ステージの最後に登場するボスを倒せば次のステージが解放されるからですね。しかし、ただステージを進めばいいだけではありません。最終ステージを除いた8ステージのうち、半数のステージにはゴールが2つ用意されているのですが、すべてのステージのボスを撃破しなければ最終ステージに進めないため、もう1つのゴールを目指して探索する必要があるのです。

各ステージでゲットしたアイテムの力で、重い石を押せるようになったり、水中で呼吸できるようになったりします。新たに手に入れた能力により、突破できる場所が増えるので、前にクリアしたステージに戻って別のルートを探すような展開になりますね。単に別のルートを探すだけでなく、投擲武器のストックを増やすバッグや体力の上限を増やすハートの器など、さまざまなアイテムも隠されているので、探索のしがいがあるというもの。

本作は探索型であるにもかかわらず、残機制が採用されています。これもステージクリア型のように感じる一因となっているでしょう。死亡した場合はステージ中のチェックポイントに戻され、全滅した場合はステージの最初からとなります。失われるものはプレイヤーの時間だけなので、ペナルティはかなり緩め。残機はショップで購入できる上に、そんなに高価でもないのでフレンドリーですね。

ストイックだが理不尽ではない難易度

ファミコン風の見た目どおり、難易度もファミコン風となっています。といっても、理不尽なムズかしさではありません。どう考えても無理!とか、もう神に祈るしかない!とか、攻略に気合いを要する内容ではなく、敵のパターンを掴んでいけばカッチリ攻略できる内容になっています。その分、ゴリ押しで突破できるようにもなっていないので、甘えた攻略も許されてはいません。ここでもストイックな男気を感じずにはいられませんね。

特に、終盤のボスなどはかなり強力で、死にながら攻略パターンを考えていくことになります。どうしても厳しい場合は前のステージに戻り、体力アップのアイテムや強力な装備を探し求めるのもいいでしょう。どのみち、全ステージクリアのために探索は必須ですから、やっていれば自然と入手できるようにもなっています。そんなに変な場所に隠されているわけでもありませんしね。

クリア時にプレイタイムやアイテム取得率が表示されるので、タイムアタックで短時間クリアを目指すもよし、アイテムコンプリートのためにじっくりやり込むのもよし。おそらく、短時間クリアを目指すとなると、パワーアップアイテムの入手は最低限になるでしょうから、難易度も急上昇してスーパープレイを生み出しそうな予感。ちなみに、ボクのクリアタイムは7時間弱でアイテム取得率は96%だったのですが、1周するだけでも十分なボリュームでしたね。

直球勝負からうかがえる開発者の男気を体感せよ

そんなわけで『Odallus: The Dark Call』は非常にファミコンスタイルへのこだわりを感じる2Dアクションになっていました。ともすれば地味と感じてしまいそうになるほどのストイックさですが、変化球を捨てて直球のみで勝負した開発陣の男気こそが本作の最大の特徴なのではないでしょうか。正直なところ、目新しさを求める人にはまったくオススメできませんが、丁寧にカッチリ作られた2Dアクションを求める人なら楽しめるのではないかと。

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